アメリカン・マッスルの王道!「1968年型シボレー・シェベルSS-396」をレベル製プラモデルで楽しむ【モデルカーズ】

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2代目シェベルのトップパフォーマンスモデル

1950年代のシボレーは、コルベットを別にすれば一種類のボディしか持たなかったが、1960年代には、異なるサイズのボディをいくつか登場させた。1960年のコルベア、1962年のシェビーⅡと立て続けのコンパクト攻勢の後、1964年型からシェベルを投入。これはインターミディエイトに属し、フォード・フェアレーンの対抗車種だった。大きくなりすぎたフルサイズに対し、名車トライシェビー(1955~1957年型)のサイズ感を復活させる意図があったともいう。このコンセプトは正解だったようで、シェベルはコルベアやシェビーⅡを上回るヒット車種となり、結果としてシボレー全体のセールスを押し上げることとなった。

ボディスタイルはフルサイズ(インパラ等)のそれを圧縮した印象で、2代目となる1968年型でもそれは変わらず、逆スラントのフロントマスクや抑揚の強いラインが特徴だった。1968年型のラインナップは、基本のシェベル300(2ドア・クーペ/4ドア・ワゴン)、その上に位置するシェベル300デラックス(2ドア・クーペ/2ドア・ハードトップ/4ドア・セダン/4ドア・ワゴン)、上級モデルのシェベル・マリブ(2ドア・ハードトップ/コンバーチブル/4ドア・セダン/4ドア・ハードトップ/4ドア・ワゴン)、そしてハイパフォーマンスモデルのシェベルSS-396(2ドア・ハードトップ/コンバーチブル)という構成。

さらに豪華版ワゴンのシェベル・コンコースが独立したシリーズとして存在したが、マリブの4ドアおよび2ドア・ハードトップに用意されていたオプションパッケージ(ビニールシートやカギ付きグローブボックスを装備)にもコンコースの名が与えられており、少々紛らわしい。ペリメーターフレームや前ウィッシュボーン/後4リンクのサスペンションなどは先代からの踏襲だが、ホイールベースは長短2種類あり、2ドアは112インチ(2845mm)、4ドアは116インチ(2946mm)。SS-396は名前通り396-cid(6.5L)のエンジンを搭載、この年の最高出力は325hpであった。

新生レベルの現代的な名作キット
さて、ここでお見せしているのは、レベルから2018年に完全新金型でリリースされた1/25スケール・プラモデル(85-4445)を組み立てた作品である。オプションパーツで選べるのは2種のホイールのみで、作例のラリーホイールの他にマグナムタイプが付属する。テールランプ上部が別パーツになっていることからも想像されたとおり、基本パーツを共用した1969年型のキットが2020年にリリースされている。

ボディは2代目シェベルの特徴的なフロントマスク、そしてファストバック・スタイルを充分に再現。適度にふくよかなリアフェンダー、僅かに峰の立ったトランクリッド中央部など、中々良いイメージだ。ボディ形状は申し分ないが、ルーフ内張りのキルティングを再現したおかげで厚みが不均一になり、その影響でルーフ表面に筋状の僅かなヒケが発生している。一見気がつかないが、サーフェイサーを吹くと如実に表れる。ボディをソリッドカラーで塗った場合はそれほど気にならないが、メタリック塗装の後はスジとしてハッキリ出る場合がある。表面の凸凹は一皮むくような感じでスムーズに削り落としておくとよいだろう。

テールランプ上部は別パーツなので塗装前に接着しておくと一体で塗装できるが、継ぎ目は消さず僅かな凹ラインで残しておく。ボディカラーは1968年の純正色「TRIPOLI TURQUOISE METALLIC(コードK)」を実車カラーチップにほぼ忠実に再現。クレオスの旧版C8シルバーをベースに、アクセルSのブルー、グリーンで調色、極微量のレッドを加えた。インテリアは黒が基本だが、シートやサイドトリムは少しツヤを出し、逆にフロアは完全ツヤ消しとしてコントラストを付けると良いだろう。ダッシュボードのメーター類はデカールで再現され、シフトノブのパターンもデカールが付く。フロアパネルはボディへの取り付け易さを優先して、タイヤハウスの一部を切り取った。

エンジンにはプラグコードとイグニッションコイルのコードを追加。メッキ処理のカムカバーと補器類は、今回はシルバーで塗装せずそのまま使用した。シャシー関連で興味深いのはペリメーターフレームが別パーツになっていることだ。この車の特徴でもあるから、意図して別パーツとしたのなら素晴らしい。

ただし、フロントサスペンション周りを一体成型としたことで、金型の都合か一部不自然な形状になっている。ステアリングロッドとスタビライザーが交差する間の部分がつながってしまっているので、できれば作例のように不要なところを削り取っておこう。リアアクスルの、コイルスプリングのベース部分も形状を修正すると良いだろう。せっかくフレームが別パーツなので、フロアパネル下面はボディカラーに塗装。車高やトレッドはキットのままで問題ない。ラリーホイールは本来スチールホイールにリムとセンターキャップが付いたものなので、作例のように塗り分けるとリアルだ。タイヤは赤ラインが印刷ずみとなっている。その他の組み立ても総じてスムーズであった。窓枠やエンジンフードルーバーなどのメッキモールには、ベアメタルを使用している。ドアノブはボディと一体ではなく、メッキの別パーツだ。ストライプのデカールは黒、白、赤の3色がつき、フロントのバッジもデカールでの再現。サイドマーカーも「396」のバッジと供にデカールで再現されるが、作例では周囲のモールにベアメタルを貼った。リアガーニッシュとリアバンパーは一体だが、その間の凸部はボディパネルが見えているところなので、ボディカラーを入れておくとリアルになる。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.276より再構成のうえ転載

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