ルノー最大のヒット作となったベーシックカー
ルノー5(サンク)と言えば、特にミッドシップのグループBモデル・5ターボの印象が強いであろう。もっとも本来の5は、ボトムレンジの実用モデルである4(キャトル)をベースにした小粋なベーシックカーである。1972年に発売された5は、4との差別化とパーソナル性強化のため3ドア・ハッチバックのみ、783ccのベースグレード・Lと、956ccの豪華版・TLという構成だったが、1974年には1289ccのスポーティバージョン・LSを追加(翌年TSに改称)。1976年には、このエンジンをクロスフロー化・排気量アップしたアルピーヌが登場(英国では商標権の関連から名称はゴルディーニ)、TLを更に豪華にしたGTLとともに、Lがベースのライトバン的な2シーター、ソシエッテも追加されている。
1978年にはATが加わり、翌年には5ドアも仲間入り。モデル末期の1982年にはアルピーヌがターボ化され、さらに最上級モデル・TXが追加された。そして前述のグループBモデル、5ターボが登場。ターボ2、マキシを経て1985年にモデルチェンジ、車名が別のものになるルノーの慣例を破って、シュペール5を名乗る。この系譜は以後さらにクリオ/ルーテシアと進化していった。ルノー5は日本には排ガス対策の関係で北米版Le Carに準じた仕様が輸入され、その後は本国仕様を元に品質を向上、メジャーな輸入車として人気を博したのである。
プラモデルでは、バンダイから初期の丸目仕様が1/20で、イマイからアルピーヌが1/24のモータライズと1/35のゼンマイ版で、そしてタミヤから1/24で5ターボが発売されているが、ここでご紹介しているのはイタレリ製1/24スケールの5だ。このキット、元はエッシーによるもので、当時はグンゼ産業(現GSIクレオス)から日本語版も発売されていた。使用したのは5アルピーヌのラリー仕様。エブロ製ルノー4のパーツを組み合わせると容易にTLが作れるのでは? という構想を実現してみたものである。
初期モデル化と細部のクオリティアップ
まず、ボンネットはボディとのクリアランスが全くないので両端を削って隙間を確保。裏側のモールドのため表側にヒケがあるので、600番ペーパーと当て板で均して消す(画像向かって左が修正後)。また、ヘッドライト開口部の形状が実車と異なるので、カドを角ばらせる。ボンネット自体に歪みがあり浮きやズレが発生するのでそれも修正。裏側には可動と着脱の両立のため簡易なヒンジを自作した。写真の位置にL字に曲げた虫ピンを差し込み、ボディに接着したフロントグリル裏側に受けをリューターで彫って、そこに引っかかるように加工。ボディにはドアサッシが再現されていないので、0.5mmプラ角棒で自作した。
リアハッチにも同様にヒンジを虫ピンで取り付けた。このキットの欠点はライトが小さく反射鏡もないこと。レンズはフジミ製カウンタックの車幅灯から、反射鏡をフジミ製86レビンのものから加工、上下幅を広げている。メッキの足りない部分はシルバーで塗装。グリルにはメッキモールがないので、筋彫りして洋白線を埋め込む。アルピーヌ/ラリーと一番異なるのはフロントバンパーで、ウィンカーが下寄りに付いている。そこでバンパー上面に1mmプラ板を貼って対処。ウィンカーはレンズの形は正しいがバンパー開口部がただの長方形なので、くり抜いて成形。スリット状のモールドはヘリを残さないようにエッチングソーで彫って延長した。
エンジンは前述の通りエブロ製4Lから細部を加工して5仕様とした。エアクリーナーは複製し2個つないで楕円形に。初期型特有のシフトロッドを再現するにはタイロッドが邪魔だが、これは実車ではもっと奥寄りだ。タイロッドの左右軸受けを削って取り付け位置を下げ、前後逆に取り付けた。エキマニの通る孔をタイヤハウスに開け、スペアタイヤの逃げに隔壁の一部も削除。ラジエターはオイルクーラーと電動ファンのモールドを切除し、このファンにタミヤ製プレリュードのシュラウドを加工して組み合わせた。運転席側に付く室内空気取り入れ口は4Lのバッテリーを利用してそれらしく自作。エキパイも4Lのものを使うが、曲がり方が異なるため切ったり曲げたりで変更した。
インテリアはキットパーツをベースに加工、ダッシュボードやステアリングホイールにはメタルサイディング(スリット入り)のプラ板を使用するなどした。上記の工程には、キットを素組みする際に役立つ部分もあるので、参考にして頂ければ幸いだ。