シュニッツァーの躍進を決定づけたレースカー
BMWの歴史の中で、現在の3シリーズの源流にあたると言われるのが、1966年に登場した1600-2である。この2ドア・セダンに、ひとクラス上の2Lエンジンを与えたのが、1968年デビューの2002だ。「マルニ」の愛称で現在も親しまれるこのモデルには、ツインキャブ版やインジェクション版などの高性能モデルが追加されていくのだが、その極めつけと言えるのが、1973年にデビーした2002ターボである。
この2002ターボが非常に強いインパクトを与えたのは、そのルックスによるところも大きいだろう。前後にスポイラーを、そしてボディ側面にはオーバーフェンダーを装着し、派手なグラフィックと「turbo」の鏡文字で装ったその姿は非常に迫力のあるものだった。ここでご覧頂いているのは、そんな2002ターボをさらに凄味の利いた姿にしたGr.5マシーンの、1/24スケールの模型である。
このマシーンはあのシュニッツァーが手掛けたもので、1977年のドイツ・レーシングカー選手権(DRM)、2L未満クラスのディビジョン2に参戦している。他チームは当時新型の320iを走らせていたが、あえて2002に1.4Lターボエンジンを搭載、リタイアに終わることもあったものの、しかし走れば速いという02ターボを造ったシュニッツァーは、その技術力を認められて、翌年よりBMWのワークスとなり、その関係を深め今日に至ったのだという。
プラ板と瞬着パテでボディ各部を造形!
シュニッツァーの原点とも言える2002ターボGr.5、そのベースである2002ターボは近年ハセガワから良質なプラモデルが発売されており、この作例もハセガワ製キットを使用している。残っている資料がやはり豊富とは言えず、レースごとに形状も違っているようだが、作者は特に初期型をモチーフとし、数枚の画像からその形状を割り出して制作。「最近は目盛り付きプラ板など、改造工作に便利なマテリアルも増えており、そうした素材を上手く使えば、比較的すんなりと形状を出していけるのでは」とのことだが、もちろん改造は容易なものではないだろう。下はフロントフェンダーの造形工程だが、目盛り付きプラ板と瞬間接着パテで造形していく過程が、細かく説明しなくても読み取れることと思う。もちろんリアフェンダーも同じように造形していった。
フロントエアダムはまず底面を目盛り付きプラ板で作る。こうした底面は形を転写しやすいが、そうでない部分では、写真のような型取りゲージが活躍。これでフロントグリル直下の部分を写し、上面を切り出した。こうしてプラ板から作った各パーツで骨格を作りダクトを開口。瞬間接着パテを盛りつけ、スロープした形状を作っていった。
コクピットに関しては、タイヤ/ホイールの部品取りに用意したタミヤの320iのパーツ(シートやステアリング等)が使えたので、2002ターボのインテリアタブをベースにこれらのパーツを移植して作り込んでいる。ロールケージは曲がるプラ棒で自作、シートベルトの色は想像によるもの。
カラーリングについては、残されている写真がどれほど正確な色合いなのか掴みづらかったとのことで、すこし華やかな色あいに振ったとのこと。レッドはフィニッシャーズのルミレッドをベースに、クレオス色ノ源イエローを混ぜて朱色側に寄せた色、イエローはフィニッシャーズのピュアイエロー+ミディアムイエロー、ブルーもフィニッシャーズ(ピュアブルー)を使用している。