劇中車仕様をノーマル戻し!「1967シボレー・インパラ・スポーツセダン」のAMT製プラモデル【モデルカーズ】

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せっかくの4ドア車だからストックに改造したくなる

シボレー・インパラの登場は1958年型でのことで、その車名は中断もあったものの近年まで続き、60年以上の長い歴史を持つこととなった。1958年型シボレーのトップモデルはベルエアであったが、このベルエアに設けられたスポーツ・パッケージというのが最初のインパラの位置づけである。そのため1958年型インパラは2ドア・モデル(スポーツクーペとコンバーチブル)のみであったが、翌1959年型では最廉価のデルレイが消滅しインパラがシボレー最上級モデルのネーミングとなり、4ドア・モデルも用意されることとなったのである。

1960年代に入るとシボレーのラインナップにはコルベアやシェビーⅡなどのサブコンパクト、インターミディエイトのシェベルなどが加わることとなるが、フルサイズにおけるビスケイン、ベルエア、インパラという構成は継承されている。しかし、1965年型ではかつてのインパラと同じようにカプリスという新たなモデルが登場。正式にはカプリス・カスタム・セダンという名で、インパラの4ドア・スポーツセダン(ハードトップ)に設けられたスペシャル・パッケージという位置づけであり、強化されたフレームやサスペンションをも持つラグジュアリー・モデルであった。翌1966年にはこのカプリスがフルサイズの最上級モデルとなって2ドアおよび4ドア、そしてワゴンに登場し、インパラはそれに次ぐモデルに降格。カプリスの2ドアには、インパラのクーペとは異なる直立気味のリアピラーが与えられている。

前述の通りフルサイズのシボレーは’65年型でフルチェンジしており、シャシーフレームがX型からペリメーター型に変更されている。ボディラインも水平基調から、ウェストラインが途中でキックアップしたものへと変更。このボディの前後を多少変更した1966年型を挟み、ボディ外板を大幅に改めたのが1967年型だ。ボディラインは一層丸みを帯び、いわゆるコークボトルラインを形成。インパラには4ドアのセダンとハードトップ、2ドアのハードトップとコンバーチブル、そして6人乗りと9人乗りのワゴン(どちらも4ドア)の6タイプが存在、2ドア・モデルにのみ、バケットシートとフロアシフトを装着したSS(Super Sport)が設定される。搭載エンジンはインパラ、インパラSSともに250-cidの直6(155hp)と283-cidのV8(195hp)が標準で、オプションとして327(275hp)、396(325hp)、427(385hp)が用意されていた。

『スーパーナチュラル』仕様として4ドアがモデル化
ここでお見せしている作例は、2020年にリリースされたキット(AMT-1124)を制作したものだ。このキットは、1996年リリースの2ドアSS(8207)をベースに、TVドラマ『スーパーナチュラル(原題SUPERNATURAL)』の劇中車としたもので、プラモデルとしては少数派に属する4ドア車のモデルとなっている。ベースキットからボディをニューツール(新金型)のスポーツセダン(4ドアHT)に差し替えたのが最大の特徴で、エンジンフードはエアインレットなしとなり、グリルとリアガーニッシュのSSバッジを外し、リアウィンドウも変更されている。フロントにはバンパーガード(純正オプション)を追加モールド、リアのバンパーガードは別パーツ。ホイールは劇中車に合わせたカスタム、タイヤはAMTの別売りグッドイヤー“POLYGLAS GT”と同じものを前後の太さを変えて4本セット。室内は前席をベンチに変更、これに伴いシフトレバーはコラムに変わっている。

作例はこのキットをストックに戻してみたものだ。ボディ形状は良好だが、変更されたフードの内側とラジエタークロスメンバーが干渉する。インストにも明記されるが、メンバー上部を削って調整する(フード内側も削った方が良い)。前面のメッキバーは、フードを閉めた時に前から見るとグリルとの一体感が乏しい。メッキバーを少し下げるように、プラ板を挟んで調整した方が良いだろう。

ボディカラーは純正のGRANADA GOLD(コードGG)。実車カタログの表紙の色で、たぶんシボレーのイチオシだったのだろう。実車カラーチップを参考にやや明るくアレンジし、アクセルのシルバーをベースにメジャムイエローやレッド、ブラックで調色。作者は最近、ゴールドやカッパー系の調色に「ゴールド」や「カッパー」を使っていないという。塗装後しばらくすると塗料の劣化(原料の真鍮や銅の酸化だろうか?)で黒く変色するらしいからだ。また、元の色味が強く微妙な色調整がし辛い。シルバー(アルミ)がベースだと変色がなく、色あいの微妙な調整も容易だという。

インテリアはボディ後部内側と干渉して、うまく収まらない。リアウィンドウ後部のノリシロをギリギリまで削り、室内側もリアトレイの立ち上がりを削り取る必要がある。前後ウィンドウは厚く、厚底メガネのような感じが否めない。ボディに取り付けるとレンズ効果でピン穴が外から丸見えとなってしまう。これはボディ側ピンを取り除き、パーツ周辺をギリギリまで削り込むと解消する。取り付けは表からテープで仮止めして、内側からエポキシ系接着剤を少しずつ流し込むと良い。室内はボディに塗装した色に微量の白を加え、ややツヤを出してビニル感を演出。フロアやリアトレイなどは濃いベージュ、天張りはボディ塗装前に薄いベージュに塗った。メーター類はデカールが付くが、作例では筆で色注し。ディテールアップとしてドアノブの隙間を開けている。

ストックへの改造だが、まずグリルのメッキを剥がしバンパーガードを削り取ってから、業者による再メッキ加工に出している。リアバンパー/ガーニッシュも同様に再メッキ処理。キットのボディにはエンブレム類が一切ないので、モデルカーガレージ製のエッチングパーツを使用した。ホイールは2ドアSSのラリーホイールを流用。本当は1967年型インパラのアニュアルキット(1966年製 No.6727)から純正ホイールを調達したいところだ。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.297より再構成のうえ転載

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