シボレー・カマロの上位モデル「SS」の最新モデルを公道で走らせた。生憎のウェットコンディションとなってしまったが、結果的にカマロSSの秘めたポテンシャルを引き出す呼び水となり、優れたパフォーマンス性と最新モデルの進化を堪能することとなった!
控えめに言ってもお買い得な一台!
シボレー・カマロが人知れず進化を果たしていた。現行型の6代目カマロは2017年に国内デビュー。ところが、その翌年にはハイパフォーマンズバージョンのカマロSSに搭載されるATが8段から10段へと改められたのである。しかも、最新仕様のモデルではクラウド式ナビゲーションシステムを搭載。これはクラウド上にあるゼンリンの地図情報とオンラインVICSのデータをストリーミングするもので、使い勝手としては車載式ナビとまったく変わらない。スマホをつないでApple CarPlayやAndroidAutoを立ち上げる必要は、もはやなくなったのだ。細かいところではスマホ用ワイヤレスチャージングの搭載も嬉しいニュースである。
それ以外のカタログには現れない部分でもカマロが進化していることが今回の取材で判明した。
試乗したのはV8エンジンを積むカマロSS。6.2Lの排気量から453psと617Nmを絞り出すLT1エンジンは、6500rpmら始まるレッドゾーンまでシュンシュンと軽快に回る。これを一度体験してしまうと「OHVでこんなにスムーズならDOHCなんて要らない」と思ってしまうほど。まあ、DOHCにすることのメリットは燃焼室形状の最適化にもあるわけだが、この”シェヴィー・スモールブロック”もパワーは十分だし、V8とV4のシリンダー切り替え機構を備えているおかげで高速巡航では13〜14km/hを記録するのだって難しくない。アメリカの自動車メーカーは本当に不思議な技術力を秘めていると思う。
現行型カマロはボディ剛性が高いのも特徴のひとつ。しかもSSだったら足回りがしっかり硬められているので、意外なほど俊敏な走りが楽しめる。
まあ、そんなことは6代目が誕生した時点で確認済みだったのだけれど、今回、さらなる進化を遂げていることが明らかになった。
まず、タイヤの当たりが柔らかくなって、これまでのように鋭利なショックが伝わらなくなっていた。ちなみに、タイヤは20インチのグッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック3(ランフラット仕様)で以前と変わらない。おそらくダンパーのセッティングなどを細かく煮詰めることで、この乗り味を実現したのだろう。しかも、カマロSS本来のアジリティは健在なので、この熟成は見事としか言いようがない。
もうひとつ、今回新たに発見したのがステアリング・インフォメーションの豊富さだった。
試乗当日は生憎の雨模様で、路面はかなり滑りやすい状態。おかげで、コーナーでプッシュするとフロントグリップが抜けかける傾向が見られたが、その様子が手のひらへと克明に伝わってくるので、タイヤのグリップと相談しながらステアリングやスロットルペダルをコントロールするのは容易。しかも、ボディ剛性が高く、サスペンションも適度に引き締められているので、”当てずっぽう”ではなく、繊細かつ正確なコーナリングを味わえるのだ。コントロール性に優れたブレンボ製ブレーキシステムも、こんなときには心強い味方になってくれることだろう。
これでステアリングの取り付け剛性がさらに高くて、タイヤのバタツキ感がもう少し軽かったら、まさに文句のつけどころがない。価格はほんの少し値上げされて729万円になったけれど、それでもお買い得感は相変わらず。大柄なボディの上にちょこっとキャビンが乗っかっているようなプロポーションに惹かれる向きも少なくないはずだ。ワイルドなだけではなく、洗練された味わいも楽しめるアメリカンマッスルカーの現在形をぜひ、お試しいただきたい。
【Specification】シボレー・カマロ SS
■全長×全幅×全高=4785×1900×1345mm
■ホイールベース=2810mm
■トレッド(前/後)=-/-mm
■車両重量=1710kg
■エンジン型式/種類=-/V8OHV
■内径/行径=103.2×92.0mm
■総排気量=6168cc<
■最高出力=453ps(333kW)/5700rpm
■最大トルク=617Nm(62.90kg-m)/4600rpm
■トランスミッション=10速AT
■燃料タンク容量=72L(プレミアム)
■サスペンション=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:Vディスク
■タイヤサイズ=前 245/40ZR20、後 275/35ZR20
■車両本体価格(税込)=7,290,000円
公式ページ https://www.chevroletjapan.com/camaro
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