唯一の1/24プラモ、エブロ製「シトロエンDS19」を細部までこだわって作る【モデルカーズ】

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2022/01/17 12:00

「シトロエン」、そして「DS」――と言えば、現在ではシトロエンの高級車ブランドの方を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかしその名の由来となった(と思われる)のは、20世紀を代表する名車、シトロエンDS19である。

DS19は1955年、それまでのトラクシオン・アヴァンの後継的モデルとして登場した。1.9Lのエンジンと、それを縦置きにしたFF機構こそ従来からのキャリーオーバーであるものの、宇宙船のようなスタイリングが象徴するように、その内容には革新的・未来的な要素が目白押しであった。その代表的なものが、サスペンションからブレーキ、ミッション(セミオートマチック)、パワステまでを油圧でコントロールするハイドロニューマチック・システムであろう。特に油圧によるサスペンションの乗り心地は快適極まりないものとして評判となった。ラジエターグリルを持たないという、当時としては革新的なスタイルのボディには、FRPやアルミといった(その頃の)新素材が多用されている。

DSは1975年の生産終了までに排気量アップによってDS20、DS21、DS23と発展しており、また1967年のマイナーチェンジではフロント周りのデザインを大きく変更し、フェンダーとヘッドライトが滑らかな面でつながる”猫目”フェイスに進化している。この”猫目”は丸目四灯ライトだが、内側ランプがステアに合わせて首を振るのも特徴であった。

エブロ製プラモデルに細かく手を加えて

さて、エブロからシトロエンDS19のプラモデルが発売されたのは2015年のことであった。それまでDSのキットといえば、エレールの1/16と1/43しかなかったから、待望の1/24キット化に快哉を叫び、ちょっと高めのお値段も気にせず直ちに2個購入したものである。このエブロのキットは、パッケージなどに年式の明示がないものの、1958年式の再現であるようだ。判定基準として大きなポイントはエキゾーストパイプで、車体中央を通った2本の細いパイプが、トランク下で曲がって左寄りに出ている、というのがキットのパーツ形状だが、実車がこのようになったのは1958年の途中からなのである。それ以前のDS19では、車体中央を通る楕円断面のパイプがそのままセンター出しになっており、その末尾にはフィッシュテール型のエキゾーストエンドが付いていた。
このフィッシュテールが実に格好良いので、作例はこれを自作して全くの初期型、1956年式を再現してみたが、そのため本来は不要な加工をあれこれと行っている。エキパイは2本の丸パイプの間にプラ材を挟んで埋めて成形し楕円チューブに変更、カーブした部分を切除して繋げ直した。また、最初期のエンジンにはディストリビューターがなくプラグコードがイグニッションコイルに直結しているので、その様子も他のパイピングとともに再現している。

実は選択式になっているウィンカーハウジング

エブロのDS19には、説明書に書かれていないちょっとした細やかな心配りが見られるが、そのひとつが、ルーフ後端左右のウィンカーハウジング(コルネット、あるいはトランペットなどとも呼ばれるらしい)である。説明書では、ここが窓枠と一体になったメッキパーツでの取り付けしか書かれていないのだが、実はパーツがもうひとバージョン用意されている――クリアーパーツのウィンカーハウジングと、それを使う際のメッキの窓枠がそれである。


このハウジングを使う際はクリアーレッドに塗装して取り付けるのだが、実車でのその使い分けは、基本的にはルーフカラーとの組み合わせによって変わるもので、早い話がルーフが明るい色の場合はクリアーレッドとなるらしい。
本やサイトでは、このクリアーレッドのハウジングをID19(廉価版モデル)用と説明しているものが見受けられるが、これは間違いで、IDでは茶色のペイント仕上げとなる。

よく見るとブラックじゃない!
ボディカラーは一見ブラックのようだが、これは黒に近い紫“オーベルジーヌ”を再現したもので、この名を和訳するとズバリ茄子、野菜のナスの色なのだ(これとは別にただのノワール、つまりブラックも存在した)。1956年式のカラーには他にシャンパーニュ(シャンパンの意味だがメタリックではなく濁ったアイボリー。作例のルーフの色でもある)、ヴェール・プランタン(明るいグリーン)、グリ・ロゼ(明るいグレー)などがあった。

作例制作=秦 正史/フォト=服部佳洋 modelcars vol.278より再構成のうえ転載

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