モビリティの変遷とパラレルするコンチネンタルの歴史
コンチネンタル社の前身となる「コンチネンタル・弾性ゴム・グッタペルヒャ社」がドイツ・ハノーバーで創業。これは最初のガソリン自動車が製造される15年程前のことだ。当初は雨具用のゴム引き布、自転車や馬車用のソリッドタイヤ、ソフトラバー製品などを製造していた。ハノーバーは19世紀の初めには、エンジニアリング工場、織物工場、繊維工場、さらには高級ショコラティエまでもが軒を連ねる賑やかな工業地帯で、1843年には、すでにドイツの他の地域と直通の鉄道で結ばれていた。
1879年
ジークムント・セリグマンが初代ディレクターに就任。彼のリーダーシップの下でコンチネンタルは躍進し、当初261人だった従業員は1925年には約1万4500人にまで増えていった。
1882年
1875年にドイツ・ハノーバーのシンボルである「跳ね馬」がコンチネンタル製品に初めて登場。1882年にトレードマークとして正式に採用された。
1900年
初の硬式飛行船であるツェッペリンLZ1には、ガス袋のシーリングのためコンチネンタルのマテリアルが使用されていた。
1901年3月25日
コンチネンタルの空気入りタイヤを装着したダイムラー社の初代「メルセデス」が、ニース・サロン・ニースのカーレースで414㎞の距離を6時間45分48秒で完走し、センセーショナルな勝利を収めた。この勝利は強力な宣伝効果を発揮し、新しいタイヤデザインの開発に拍車をかけた。
1904年
世界で初めてトレッドにパターンを採用した自動車用タイヤを発表。
タイヤ交換における時間と労力を低減するためにセダン用の着脱式リムを発明。
1914年
フランスGPで、コンチネンタルタイヤを装着したダイムラー社の「メルセデス35HP」を駆る、クリスチャン・ローテンシュラーガー、ルイス・ワーグナー、オットー・サルツァーで1-3位を独占した。
1921年
ドイツ企業で初めて空気入りのコードタイヤを市場に投入。コード繊維の生地は、よりしなやかで柔軟性があり、硬いリネンの角型織布から大幅に性能が向上した。
ラバー・金属接着のための製品を「Continental Schwingmetall(シュイングメタル)」として商標登録し発売。これはエンジンマウントの振動ノイズ低減を目的としていた。
1938年
ドイツ・シュトッケンに新しいタイヤ工場を建設。第二次世界大戦後に操業を開始した。
モータースポーツでの快進撃
ダイムラー・ベンツやポルシェと共に、レースで快進撃を続ける。スターリング・モス、カール・クリング、ファン・マヌエル・ファンジオなどの有名レーシングドライバーが、コンチネンタルの高性能タイヤを装着したレースカーでフランス、イギリス、オランダ、イタリアのグランプリを制覇した。1954-1955年は、短期間ながらF1にも参戦していた。
1952年
ヨーロッパで初めて、冬の環境下での使用を想定した「М+S(マッド&スノー)」付きタイヤを発売した。
1955年
コンチネンタルは、トラックやバス用のエアスプリングを開発した最初の企業である。またドイツ企業として初めて乗用車用チューブレスタイヤの製造を開始した。
1960年
ラジアルタイヤの量産を開始。このタイヤの呼称に「R」の表記を導入し、これが後に世界中のタイヤメーカーの標準となった。
グローバル化や多角化経営拡大を推進
1967年
自動車産業のダイナミックな発展に伴い、さまざまなタイプや用途のタイヤに対する需要が高まりました。市場のニーズに応えるため、コンチネンタルは専用のテストセンターContidrom(コンチドローム)を開設。
1968年
最初の電子制御の無人運転車が「Contidrom(コンチドローム)」のサーキットに登場し、報道陣や一般の人々を驚かせた。このプロジェクトの目的は、プログラムされた条件下で、科学的手法を用いてタイヤを正確にテストする方法を証明すること。しかし、別の意味で、コンチネンタルのエンジニアたちは自動運転の未来を切り開いていたのだ。
1971年
ホース製造最大拠点であるコルバッハ工場を開設。ホース製造をハノーバーからコルバッハに移管した。
1979年
米国のユニロイヤル社の欧州タイヤ事業を買収したことにより、コンチネンタルはヨーロッパでより広い基盤を築いた。
1985年
オーストリア・センペリット社のタイヤ部門を傘下に収め、欧州での事業基盤を強化した。
1987年
米国ゼネラルタイヤ社を買収し、北米での地位を強化した。同社は2001年からコンチネンタルタイヤ・ノースアメリカの名前で事業を展開している。
時代の移り変わりを映す、コンチネンタルの出版物とポスター
1913年:顧客向け雑誌「エコー・コンチネンタル」が創刊され、エーリッヒ・マリア・レマルクなどの若い作家やパウル・カウフマン(通称カスパリ)などのアーティストが寄稿していた。
時代を先駆けてエコやサステナビリティさらには自動運転などに注目した製品開発を推進
1991年
タイヤの環境へ与える影響を考え、環境に配慮した初のサステナブルタイヤ、「ContiEcoContact(コンチ・エコ・コンタクト)」を発売。特に転がり抵抗とタイヤの摩耗の低減に注力して開発されたコンチ・エコ・コンタクトは、従来のタイヤと比較して、より長いタイヤ寿命と走行路面に残るゴムの残留物の大幅削減を実現した。
オートモーティブシステム部門を設立し、自動車業界におけるシステムビジネスの強化を図る。
アルゼンチン、メキシコ、南アフリカ、スロバキアに拠点を広げ、グローバルタイヤメーカーとしてのポジションを強固なものに。
フランクフルトのアルフレッド・テーベス社を中心とする米系企業のブレーキ・シャシー部門を買収。
2001年
エレクトロニクスのスペシャリスト集団であるTemic社を買収。成長をみせるオートモーティブエレクトロニクス分野での活動を強化。
2003年
世界で初めて最高速度360㎞/hに対応した一般公道用タイヤ「ContiSportContac2 Vmax(コンチ・スポーツ・コンタクト2 Vmax)」を発表。その後、「世界最速市販用タイヤ」としてタイヤでは初めてギネスワールドレコードに認定された。
2004年
Phoenix AG社を買収、ContiTech部門に統合し、ラバー・プラスチックテクノロジーとして世界最大のスペシャリスト集団へと進んでいく。
2006年
アメリカのモトローラ社の自動車エレクトロニクスビジネスを買収し、テレマティクス分野世界で初めて最高速度360㎞ を含む事業拡大を推進。
2007年
シーメンスVDOオートモーティブAGを買収し、世界の自動車業界でトップ5に入るサプライヤーとなった。同時に、ヨーロッパ、北米、アジア市場におけるポジションを大きく向上させた。
2012年
アメリカ・ネバダ州での自動運転車テストライセンスを取得。高度自動運転車が承認を受けたのはサプライヤー初となる。
2017年
自動運転や電動化のニーズに応える、未来への新たなタイヤ技術「ContiSense(コンチ・センス)」と「Conti Adapt (コンチ・アダプト)」を発表。
2018年
ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州にタンポポゴムの研究所「Taraxagum Lab Anklam(タラクサガム・ラボ・アンクラム)」を開設。この研究所では、ゴムノキの代替原料として、ロシアタンポポの栽培や
加工といった画期的な研究を行っており、環境に配慮したタイヤの生産を大きく飛躍させた。
2019年
近未来の完全無人運転車両実現に向け、公道での実証走行のための車両ナンバーを自動車業界で国内初取得。
取材協力
コンチネンタルタイヤ https://www.continental-tire.jp/car
コンチネンタル https://www.continental.com/ja-jp/