マツダのコンパクトハッチバック&セダンのマツダ3が商品改良を受けた。内容はエンジンやダイナミクス性能、予防安全の進化など多岐にわたるが、その中でメインとなるSKYACTIV-Xについてリポートしよう。
制御技術のアップデートでエンジン特性が激変
マツダは新型車の導入後、数年でマイナーチェンジするというサイクルを取らず、1年前後で商品改良を行うという手法を採用している。それに則る形で、昨年11月にマツダ3が改良を受け、その試乗会が行われた。
赤のトリム&シートが目を引くインテリア。今回内装の変更はないが、運転支援システムのうち、車線の中央を走行するCTSの機能が、高速度域まで拡大されているのがトピックだ。
今回の商品改良では、走行性能と安全性の向上が図られていたが、その中でもメインとなるのは、マツダ独自のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)という燃焼方式を採用したSKYACTIV Xの進化だ。
燃焼方式の制御をアップデートしたことで、2L直4のSKYACTIV-Xユニットは最高出力が180→190ps、最大トルクは224→240Nmに向上している。
具体的には、シリンダープレッシャーセンサーによる燃焼フィードバック制御の精度を高め、応答性を向上。また、EGR制御の精度を高め、より多くの空気をシリンダーへ加えることで、トルクと出力を向上。さらにはエンジンとATの応答制御を最適化することにより、過給と変速を早め、シャープな加速を実現。といったもので、SPCCIの燃焼制御を最適化することで、ほぼすべての回転域で出力とトルクを向上、最高出力は従来の180psから190ps、最大トルクは224Nmから240Nmへとそれぞれアップ、名称も新たに「e-SKYACTIV X」と改められた。
ラゲッジスペースは334Lの容量だが、開口部が広く荷物の出し入れがしやすいのが利点。67Lサイズのスーツケースを2個積載することが可能だ。
今回の試乗では、比較用に従来モデルも用意されていたが、乗り比べてみるとその違いは明らか。アクセルを踏み込んだ時のレスポンスも良くなり加速感も増している。正直言って、ソフトウエアの変更だけでこれだけの効果が出るのは驚きだ。
一方で、サスペンションの前後バランスも見直されたことで、乗り心地が良くなり、フラット感もアップしていたのも注目すべき点。これは前後スプリングの改良したことによるものだという。
今回はディーゼルを搭載したセダンにも試乗。最高出力を116psから130psに向上したその走りは、特に中間加速域でパワフルだった。
ちなみにこのエンジンに関するソフトウエアのアップでデートは今後無償で用意されるというから、既存のオーナーにとっては嬉しいサービスと言えるだろう。