世界10台限定のエクスクルーシブなモデルは2022年にオーナーのもとへ届けるべく鋭意開発中
ブガッティ・オートモビルズはこのほど、2019年の夏にカリフォルニアで開催された国際的なクルマの祭典「クワイル-モータースポーツギャザリング」で発表した世界10台の限定ハイパーカー「Centodiechi(チェントディエチ)」の市販プロトタイプを公開した。
イタリア語で「110」を意味する車名のチェントディエチは、ブガッティの歴史を語るうえで欠かせない存在である「EB110」へのオマージュとして発表されたモデルだ。EB110は創設者エットーレ・ブガッティの誕生から110周年を迎えた1991年に発表された記念モデルで、車名のEBとはエットーレ・ブガッティのイニシャルである。
ブガッティEB110
誕生の背景を裏付けるかのように、フロントマスクやサイドに周り込んだ形状のフロントウインドーなど、そのスタイリングはEB110を想起させるデザインが盛り込まれている。
パワートレインは「シロン」用をベースとしているが、4つのターボチャージャーを備えた8L W型16気筒エンジンの最高出力は、シロンの1500psに対してプラス100spとなる1600psを発揮。さらに車重はシロンより20kg軽量化された点も特徴だ。2.4秒の0-100km/h加速タイムはシロンと同じだが、最高速はシロンの420km/hに対して、380km/hでリミッターが介入する。
このたび発表されたプロトタイプは、発表以来同社が取り組んできた市販化への道筋を示すもの。エンジニアはボディ、エアロダイナミクス、エンジン、トランスミッションといった各コンポーネントだけでなく、ネジ1本に至るまで入念に開発作業を進めた。そして開発チームは早速、フランスはモルスハイムの自社アトリエにあるシャシーダイナモメーターにセットし、ドライブトレインの各機能を確認した。
一方デザインチームは、あらゆる照明条件のもとでもエクステリアに均一に光が当たるよう調整。1年以上の時間をかけ、このたび最初のプロトタイプが完成したのである。さらに超高速走行を実現するために、エクステリアデザインでは走行上起こりうる不安要素をより注意深く取り除かなければならない。この煮詰め作業は、とりわけ集中力を要するものになる。
1600psものビッグパワーを発する8Lエンジンゆえ、熱管理も高度なものが求められる。より効率的なエアフローを実現するべく、ボディサイドの5つの円形エアインサートの周囲にはガイドフラップを設置。これにより、ボディサイドのデザインは大きな「C」を描くシロンとは大きく異なっている。
ブガッティ・シロン
リヤビューでは8つのライトエレメントによって定義される大きなエアアウトレットが組み込まれ、独特のルックスの実現に寄与。このほか、開発上の課題としては、ボディの軽量化策やリヤウイングの設計も含まれている。
このプロトタイプは、今後数カ月のうちに風洞実験を重ねながらエクステリアデザインをフィックスさせる見通し。さらに高度なシミュレーションやテストトラックにおいて、ダイナミクス面での調整を図っていくとのこと。
2019年夏の発表時にはすでにオーナーが決定していたチェントディエチの価格は800万ユーロ(約10億1750万円)。オーナーのもとへは2022年に届けられる予定だ。