【比較試乗】「メルセデス・ベンツ GLS×BMW X7×アウディ Q8」“大きすぎる”からこそのアドバンテージとは? “規格外”の存在意義

Q8はキャラやブランドの先進性がよく現れている

Q8はQ7のクーペバージョンであり、ボディ上部が絞り込まれてコンパクトにみえるから、なんとなくフレンドリーにも感じられるのがちょっと嬉しい。室内に収まってみると、X7とは真逆でAピラーが寝ていてクーペライク。ほどよくタイトな感覚もあってスポーティだ。走り始めてみるとまず感じたのは洗練度の高さだった。GLSやX7も超がつくほど快適ではあるが、Q8は細かな振動まで綺麗に取り去り、あらゆる可動部のフリクションが低いことによる上質な乗り味が見事。静粛性の高さも圧倒的で、現実離れしているような感覚さえある。

AUDI Q8 55 TESI QUATTRO DEBUTPACKAGE S LINE/スタイリングとスポーツ性が際立つ。コクピットは上下二段のMMIタッチレスポンスを採用。オプションでアダプティブエアサスペンションが装着され、走行状況に合わせて車高を最大+50mmから-65mmの115mmの範囲で調節が可能。

快適性に重きをおいているのかと思いきや、コーナーでの振る舞いはスポーティ。全高が低いことを味方に、ロールが抑えられた姿勢で狙ったラインを正確にトレースする。後輪操舵も効いているからかタイトコーナーでもすばしっこく曲がる。決して硬くはないが、ほどよく引き締まったフィーリングだ。路面の荒れを見事に吸収して極めて快適な乗り味をもちながら、スポーティさも盛り込まれたエアサスペンションのセッティングがクーペらしさを強調。Q8を選ぶ価値を感じさせてくれる。

AUDI Q8 55 TESI QUATTRO DEBUTPACKAGE S LINE

エンジンは3L・V6ターボで他の2台ほどパワフルではないが、比較的に軽い車両重量ということもあって軽快な加速をみせる。トルクに余裕があるから、一般的な走り方ではエンジンは存在を主張してこないが、4000~6200rpmの高回転域ではパワーが尻上がり的に盛り上がっていって気持ちいい。クーペSUVらしくスポーティだが、あくまでクールにそれを表現しているのがアウディらしい。機械的に洗練されていることを強調しているのだ。
フラッグシップは最新テクノロジーをふんだんに使うことで高みを目指していくが、大きく重たい大型SUVでの効果は絶大だ。だからこそ、各ブランドの主張や実力がわかりやすい。サルーンに乗るよりもフラッグシップとしてのメッセージ性が強く思えるのだ。

フォト=市 健治/K.Ichi ルボラン2021年2月号より転載

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