「グリーンNCAP」の最新結果が発表される

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2台のピュアEVが5つ星を獲得。クリーンディーゼル車も星2.5を獲得

2019年2月に初の評価結果を公表した「グリーンNCAP」が1年9カ月ぶりに最新の評価結果を公表した。その名からも分かる通り、グリーンNCAPは新型車の環境性能をジャッジして星の数でランク付けするもので、欧州の厳しいCO2排出規制にこたえる形で始められたものだ。衝突安全性能や予防安全性能をジャッジしてきたお馴染みのユーロNCAPが運営しているが、欧州委員会(EU)のグリーン・ビークル・インデックス(GVI)の活動のひとつとして後援を受けており、インターネットサイトなどは独立して設けられている。その名のとおりグリーンカラーを多用したサイトデザインが印象的だ。

今回は24モデルと多くの評価結果を公表。評価項目は排出ガス中の有害物質削減度(排ガス清浄度)を示す「クリーンエア」、エネルギー効率の高さを示す「エネルギー・エフィシェンシー」、CO2排出削減度を示す「グリーンハウス・ガス」の3つで、最後の項目は今回から新たに導入されている。最高評価モデルに5つ星を与えるところはユーロNCAPと同じだが、より細分化して星半分(2.5など)といった評価もとり入れている。
なお、このグリーンNCAPは発足当初からクルマの生産段階のCO2排出量などを加味する「ウェルtoホイール」の評価が重要だと主張し、最終的にはリサイクルや廃車時のエネルギー消費も含めたライフサイクル評価を目指す考えだが、今回はまだクルマ本体に限る「タンクtoホイール」に留まっている。2021年2月に予定されているテストからは「ウェルtoホイール」まで範囲を拡げ、電気自動車(EV)に関しても、工場で利用する電気の発電方法などまでさかのぼってジャッジしていく考えだ。また、ここ1〜2年の新型車の環境性能の進化は著しく、評価基準も異なってきており、2019年に公表した第1回の評価結果とは単純に比較できないという見解も示している。

公道試験中のメルセデス・ベンツCクラス。ディーゼルエンジン搭載車ながら有害物質の排出量が少なく、優秀な結果となった。

24車の評価結果は表の通りだが、EV2車(ヒュンダイ・コナ、ルノー・ゾエ)が最高評価となるのは当然としても、トヨタCH-Rのハイブリッド車がエネルギー効率の高さが証明されて総合評価が3.5となったところは注目できる。一方で同じハイブリッドながらホンダCR-Vはエネルギー効率、CO2排出量が期待ほどではなく2.5に留まっている。天然ガスを燃料とするアウディA4のg-tronは評価が低いのも意外だ。また、メルセデス・ベンツCクラスはコンベンショナルなディーゼルエンジン搭載車ながら有害物質の排出量が少なく、同じディーゼルのBMW320dやフォルクスワーゲン・パサートTDIより高い評価となっている。これに対してグリーンNCAPは、排気ガスの後処理装置の有効性が評価を分けたと述べている。
欧州でも普及が進んでいるプラグインハイブリッド車が1台もないのは疑問だが、2月のテストでは何台かが俎上に上げられるとのこと。新型コロナウイルスはいまだ欧州でも猛威を振るっているが、それを乗り越えて試験と評価を進めているところにも敬意を表したい。

ルボラン2021年2月号より転載

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