ダイムラーと吉利グループが新パワートレインを開発

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次世代ハイブリッドパワートレインを共同開発。欧州CO2規制に対応

ダイムラー・グループと中国の吉利グループ(浙江吉利控股集団)が次世代ハイブリッド車用のガソリンエンジンの共同開発をスタートさせる。欧州のCO2規制や中国政府の電動化促進計画がクローズアップされるなか、より燃費のいい(CO2排出の少ない)ハイブリッド用ガソリンエンジンの需要が増すと思われるが、その半面、内燃機関の需要は先細りとなる可能性もあり、どこに開発費用を投じるか、自動車メーカーはジレンマに悩まされている。そんな背景もあっての共同開発という側面もありそうだ。

吉利グループは2018年にダイムラー株の10%を取得し、現在は筆頭株主の座にある。すでにスマートに関しては中国生産を増やすなど提携は進んでいるが、今回のエンジン共同開発も吉利の資本とダイムラーの技術を活用し、グローバル競争で勝ち残っていこうという思惑が垣間見える。また、吉利はボルボカーズの親会社ということもあり、より幅広く使えるハイブリッド用高効率エンジンの開発を進めてコストダウンを図る考えもあるようだ。
ダイムラーは2030年には世界販売の半数以上をプラグインハイブリッド車および電気自動車(EV)とする計画を立てているが、その場合でもプラグインハイブリッド用の高効率のガソリンエンジンは欠かせない。吉利との共同開発もそのためで、2020年7月に設立されたばかりのメルセデス・ベンツ・ドライブシステムがプロジェクトの先頭に立ち、開発のリーダーシップをとっていく。今やメルセデスはEクラスでさえ1.5Lターボとマイルドハイブリッドで存分に走らせる技術を持ち、ディーゼルでさえ有害物質の排出量が少なくグリーンNCAPが高く評価する後処理システムを実用化している。共同開発によりその技術をさらに高めていくことになる。
日本を含め内燃機関のみを搭載するクルマが生き延びるのは今後難しい状況となりつつあるが、電動機構の付加が許される形はしばらく続くはずで、高効率エンジンの需要は途絶えないだろう。その半面、需要増が望めないだけに開発や生産に必要なコスト抑制は必至で、メーカーの枠を超えた共同開発、共同生産が増えると思われる。ダイムラーと吉利、ボルボにさらに新たな仲間が加わることになるのか、今後の展開をウォッチしていく価値はありそうだ。

ルボラン2021年2月号より転載

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