新型「911 GT3カップ」が搭載する自然吸気式4L水平対向6気筒は従来型から25ps上乗せとなる510psを発揮
12月12日、ポルシェは911のワンメイクレース車両「911 GT3カップ」の新型を発表した。新型911 GT3カップは、2021年シーズンの初めから「ポルシェ・モービル1スーパーカップ」のほか、ドイツやフランス、アジア、ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国)、そして北米で開催されるポルシェ・カレラカップにて実戦投入される予定だ。
新型911 GT3カップは、現行992型911をベースにした最初のワンメイクレーサー。搭載されるエンジンは、従来の自然吸気式の4L水平対向6気筒を踏襲するが、最高出力は25ps上乗せとなる510ps/8400rpmを発揮。最大トルクは470Nm/6150rpmだ。ギヤボックスは6速シーケンシャル・ドグミッションで、ステアリングホイールに備わるパドルシフトでの変速が可能だ。
ボディはアルミニウムとスチールのハイブリッド構造を基本に、ドアやリヤフード、リヤウイングにはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)が、そしてウインドーはポリカーボネイトが用いられた。これらにより、総重量は1260kgという軽さを実現している。
フロントバンパーはスポイラーリップ付きの幅広タイプとなり、リヤウイングは「スワンネック」マウント付きで11段階にポジションの調整が可能。これにより大きなダインフォースを発生する。リヤウイングはスワンネックにより、特に高速コーナーでより安定したハンドリングを保証する。
エアロダイナミクス性能が最適化された新型のボディは、さらに筋肉質なルックスとなった。市販の992型911がワイドボディに統一されたことで、全幅はフロントが1920mm、リヤは1902mmとなった。特に後部は従来モデルより28mmワイドになり、リヤフェンダー前方に配置されているエアインテークの存在感が高まった。
鍛造アルミニウム製コントロールアームとトップマウントを採用したサスペンションは剛性が最適化。ショックアブソーバーは「919ハイブリッド」や「911 RSR」に採用された最先端のバルブ技術を採り入れている。パワーステアリングは完全な電気機械式を911 GT3カップで初めて採用したことで、油圧ポンプおよび関連部品が不要になった。
ホイールはセンターロック式の18インチ。タイヤはフロントが30/65-18、リヤが31/71-18。ブレーキは前後ともに380×32mmサイズのスチール製ディスクを採用。フロントには6ピストン、リヤには4ピストンのアルミニウムモノブロックレーシングキャリパーを組み合わせる。
シートやステアリングホイールはポジション調整が可能となり、あらゆる体型のドライバーが、より最適なドライビングポジションを取れるようになった。ステアリングホイールはカーボンファイバー製のモータースポーツ用多機能仕様で、ドライバーからのフィードバックを受けて各種ボタンの配置が、より扱いやすいように変更されている。
メーターパネルは10.3インチのカラーモニターで、エンジン回転数のほか、水温や油温、現在のギヤポジション、エラーメッセージなど、レース中の重要情報を表示する。そしてその右手にあるスイッチパネルは、919ハイブリッドのコントロールエレメントを彷彿とさせるもので、ライトや空調のほかタイヤの設定をドライからウエットに変更できる。
そのほか、内側のドアオープナーは緊急時により安全で素早く脱出できるようクイックリリース機構が採用されていたり、レース中にエンジンが停止した場合にはハザードランプが自動的に点灯して周囲に注意を促せるなど、ドライバーや周囲の競技者の安全性を高める策も積極的に講じられている。
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