自動運転車の実証実験がより簡便に

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警察庁が道路使用許可の条件を緩和。日本でも実証実験が増えることになるのか

自動運転車両を実証実験などで公道を走らせる場合、警察庁の許可が欠かせない。現時点で「特定条件化でシステムが運転を制御し、故障時などは運転者(人間)が対応」とするレベル3の自動運転車なら実証実験等で公道を走ることが可能となり、改正された道路交通法も今年4月に施行されている。同じ時期には宅配用などの自動走行ロボットの公道実証実験の手順や、道路使用許可を受けて公道実証実験を実施する場合の手順も明確化され、まだ簡便とはいえないまでも、実証実験を行うためのハードルは低くなりつつある。
さらに今年9月には、その実証実験を公道で行なう際の道路使用許可基準も緩和。まず遠隔型自動運転車では、今までは運転者(監視・操作者)が常に実験車の周囲および走行する方向、車両の状態を監視していなければならなかったが、今後は「直ちに必要な操作ができる状態を保持していればいい」となった。どう違うのか分かりにくいが、実証実験時の監視人員を減らすことができるなどのメリットが考えられそうだ。
また、実証実験につきものの道路使用許可に関しても、今までは自動運転車両を手動で走行させる場合と、自動で走行させる場合(自律走行)、それぞれに道路使用許可を受けなければならなかったが、それを1件で済ませることができるようになった。重箱の隅をつつくような規制がやや緩和される形だが、当事者にとっては実証実験のハードルが下がるのはどんな形であれ大歓迎だろう。
日本特有の混合交通事情を考えると、自動運転の実証実験を行う際の規制が欧米より厳しいのは致し方ないものの、過疎と高齢化が進む地域での「無人自動運転移動サービス」などの必要性が高まってくることは否めない。警察庁も自動運転の進展を支援する姿勢を明確にしており、安全性の確保には実証実験の繰り返しが欠かせないだけに、慎重ながら規向で動いている。
今回の規制を緩和する通達により遠隔型の自動運転サービスの実証実験が増加し、実現に向けて大きく進展することになるのか。自治体や企業の取り組みを活発化させるきっかけとなることを期待したい。

ルボラン2020年12月号より転載

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