どちらも乗り心地が良く走りの満足度も高い
従来のメルセデスのコンパクトカーはアジリティ「敏捷性」が強調されていたが、そのなかでGLAは快適な乗り心地との両立が果たされていて、デイリーユースではもっとも付き合いやすいモデルだった。そのキャラクターは新型にも受け継がれ、しかも進化している。走り始めた瞬間からボディの剛性感が高く、サスペンションは適度に引き締まった感触。いかにも走りが良さそうな印象を受けるのだ。背の高さ相応にアイポイントも高いのだが、走りには安定感がある。ワインディングをそれなりのペースで走らせるとちょっとしたホットハッチぐらいのハンドリング。リアはどっしりと頼もしく路面を捉えつつ、ステアリングを切り込めば適度に俊敏な反応を示してくれる。ロールが深くなっても舵の効きがいいのはメルセデスらしい美点だ。
それでいて乗り心地にも不快さはない。引き締まってはいるものの、入力がとんがった感じがないのでゴツゴツを抑えている。スポーティでありながら快適だというバランスの高さが見事だ。
2Lのディーゼルターボと8G-DCTの組み合わせはGLAとの相性がぴったり。1710kgの車両重量に対して320Nm/1400〜3200rpmのトルクは余裕たっぷりで、常用域ではとくに頼もしい。静粛性はさすがメルセデスで、数多あるディーゼルのなかでもピカイチ。
トルクが太いのに対してパワーはさほどなく、回してもパンチが今ひとつだというのがディーゼルの特徴でもあるが、アクセルを強く踏み込んでいくと意外や元気。4500rpmまで綺麗に吹け上がってそれなりの加速をしてくれるから不満はない。
一般的なATに対してDCTは発進や低速域でギクシャクしやすい面もあるが、GLAのそれはマナーが良くて問題なし。時折、停止する瞬間などにクラッチを切る作動音などがわずかに聞こえてくることはあるが、そういえばDCTだったのだと気づくぐらいだ。
GLBはガソリンの2Lターボを搭載するが、ハイパフォーマンスな250なのでディーゼル以上に頼もしい。最大トルクは350Nmで200dを上回るのだから当然だ。ガソリンとしては高回転型ではなくDレンジでアクセルを全開にすると5500rpm程度でシフトアップしていくのだが、吹け上がりは鋭くサウンドもスポーティ。数字的にはもうちょっと回って欲しい気もするが、感覚的には十分で、速さもGLA200dを凌ぐ。
そして何より素晴らしいのが乗り心地だ。ホイールベースの長さとちょっと重めの車両重量がいい影響となっていて、動きがゆったりとしていて落ち着きがある。スポーツサスペンション装着車ではあるのだが、アダプティブダンパーだけあっていやな硬さはまったくない。ダイナミックセレクトでスポーツを選択すると、少し硬さが増し、高速道路などでは安定感が高くなり、ワインディングでもGLAほどではないもののスポーティな走りも苦手ではないことをみせるようになる。
今回はオフロードで試していないが、200mmの地上高とオフロードモードをもつ4マチックによって走破性もかなり高そうだ。
かたや都会的でスタイリッシュ、かたやSUVらしくアクティブと見事にキャラクターの棲み分けがなされているGLAとGLB。新世代メルセデス・コンパクトのドライバビリティの良さやプラットフォームのポテンシャルの高さが存分に引き出されているので、走りにも太鼓判が押せる。メルセデスのなかで販売台数1、2位を競い合うようになるのでは? と思わせるほど隙のない商品力の持ち主だ。