ベントレーのラグジャリーSUV、新型ベンテイガに試乗する機会を得た。特筆すべきは、ベントレーファミリーに共通する新しいデザインを纏ったそのルックス。さらに、タッチスクリーン式インフォテイメントの採用をはじめ、内外装ともに一層の磨きがかけられた!
さらなる進化を遂げた新型の実力とは
2015年9月、ベントレー初のSUVとして華々しくデビューしたベンテイガは、これまで全世界で2万台以上を販売する大成功作となった。しかしながらその後、ベンテイガが創出したラグジュアリーSUVセグメントには多くのライバルが参入してきて、競争は激化している。今回の大掛かりなフェイスリフトは、彼らを再び引き離すためのものだ。
フロントエンドはバンパー、フェンダー、ボンネット、マトリクスグリル、ヘッドライトがすべて新設計。リア回りは、起伏のあるクラムシェル型のテールゲートに楕円型のテールライトが一体化。伸長されたルーフスポイラーなどによってよりエレガントなスタイリングに。
エクステリアの激変ぶりには驚いた人が少なくないだろう。フロントマスクは新型コンチネンタルGTなどと共通のコンセプトに基づくもので、82個のLEDにより宝石のような輝きを実現した4灯式ヘッドライトが何より目をひく。初めて楕円形とされ、従来より少し外側に置かれたこのライトの美しさには、ついつい視線が奪われてしまう。
そして後方に回れば、楕円形テールライトが採用されテールゲートはクラムシェル式に。ナンバープレートは下側に移され、こちらも雰囲気を一新させている。
その他、サイドスカートやルーフスポイラー、フェンダーベントにホイール等々、細部にまで入念に手が加えられた姿は鮮度がグンと高まった。全体に、威圧感よりエレガントさが強めに出ているのは、グローバルではユーザーの実に40%を女性が占めたということも関係しているのかもしれない。
インテリアにも磨きがかけられ、センターフェイシア、ステアリングホイール、ドアトリムなどが新設計。さらに10.9インチタッチスクリーンやメーターもフルデジタル表示を採用。
インテリアはセンターコンソールのデザインを変更。10.9インチワイド画面のタッチスクリーンが採用された。メーターもフルデジタルになり、一気に先進感が高まっている。フロントシートの刷新で後席居住スペースが拡大されているのも見逃せないところ。その後席は2人掛け、フレームから刷新された3人掛けが選択でき、さらに望むなら3列シート7人乗りも選べるのは従来通りである。
まず導入されたのはV8モデル。4Lツインターボエンジンは最高出力550ps、最大トルク770Nmとスペックに変更はない。シャシーについてもリアのトレッド拡大以外には特に改良点は示されていない。
しかしながら走り出すと、すぐに進化を体感できた。走りの洗練度、確実に高められているのだ。
電動式可変アンチロールバーのベントレーダイナミックライドを備えたシャシーは、低速域から当たりがしっとりとして、かつフラット感も高まっている。標準の“B”モードでも先代のコンフォートモードよりゆったり乗れる印象。静粛性も向上していると見え、快適性がますます際立っている。
それなのにコーナリングでは、むしろクルマが小さくなったかのような感覚すら得られるのだ。狐につままれたような気分とは、このことである。
何でも積み込めそうな広いラゲッジスペース。容量は4シート:392L、5シート:484L、7シート:213Lとなる。
動力性能にも不満の出る余地はない。何しろこの体躯にして、0→100km/h加速は何と4.5秒という俊足なのだから。
550ps/770Nmを発揮する4L・V8ツインターボエンジンを搭載。今後プラグインハイブリッドとW12エンジン搭載モデルも追加される。
最上級だと思っていた仕立てや走りを、さらに上の次元に引き上げた新型ベンテイガ。あるいは大胆に変わったルックスには躊躇する人もいるかもしれないが、実車をひと目見れば、すんなり受け入れられるはずだ。私自身も同じだっただけに、それは保証する。
カスタマイズの選択肢も豊富に用意される。写真はMULLINERドライビングスペシフィケーション22インチ10本スポークアルミホイール。
デリバリーは年末あたりから開始される予定。W12ユニットを積むスピードモデル、そしていよいよ導入のプラグインハイブリッドも導入に向けて準備が進められているとのことである。