価格は都内より安いもののスペースは狭小
日本の都市部では自動車を所有している方が減ったのか、マンションの駐車場に空きがでていると聞きますが、こちらドイツのミュンヘンではそれどころか、ガレージ探しがめちゃくちゃ大変な程に自動車を所有している人が増えているような気がします!そんな中、お恥ずかしながらフリーランスとして仕事をする上で、コロナ禍で大幅に減少し、ガレージのお引越しを余儀なくされた私自身の体験を元にドイツのガレージ事情をお伝えしたいと思います。
10年程前から大不動産バブルが継続中のミュンヘン。不動産価格の変動程ではありませんが、ガレージの家賃も10年前からすると倍以上となっているところも多くなりました。自動車の所有する際には、日本のように車庫証明は不要ですので、ガレージを借りるかどうかは所有者の自由。では、自動車を所有し、駐車をするのにはどんな規則があるかというと、ひとつは市の交通センターに車検証と居住している証明として賃貸契約書や電話・光熱費の領収書等と身分証明書を持って出向き、住民用の路上駐車の証明書を発行して貰う事。都市ごとに値段は違いますが、ミュンヘン市では1年につき個人用なら30€(約3600円)と格安です。
緑色のカードが今年の5月4日まで有効だった実際の私物です。これを車外からはっきりと見える位置に掲示して駐車をします。『Lerchenauer Straße』と記載されているのは、駐車できる範囲の事で、自宅近辺に立つ交通看板の『Lerchenauer Straße』と表記されている所には、どこでも駐車可能という事になります。私の家の前はトリック的な区域で、証明書を所有する住民のみしか駐車が認められていないのです。しかし、そのすぐ1m先の隣の通りは路上駐車証明書の人とパーキングチケットを購入しての駐車の両方が可能なのです。うっかりとその識別を見落とすと、違反切符がワイパーに挟まれていてビックリしている方を見掛けます。
路駐できる範囲は大体半径500m程とかなり広い範囲ですので、余裕で駐車できる・・・最初はそう思っていました。しかし、夕方から翌朝にかけてはびっちりと縦列駐車が並び、取材を終えて夜中に帰宅すると、見事に駐車できるスペースはありません。深夜1時過ぎに駐車スペースを求めてグルグルと何度も近所を回るハメになるのです。
ミュンヘン市は東京23区の半分程の大きさの街なのですが、東京と同じように幹線道路に囲まれていています。リング内のほぼ全域が住民用の路上駐車証明書が必要となり、その他はパーキングチケットの購入が必要となる区域が大半です。
区や地域によっても多少の違いはあると思いますが、私の住む区の平均的なガレージの家賃は平置きで150€前後(約1万8千円)、デュプレックスという機械式で100€前後(約1万2千円)程で、東京よりは若干お安めですね。50€程のお手軽なものもありますが、100%の確率で激狭!かなり小さめのコンパクトカー以外は入らないという難点があります。
去年まで所有していた愛車はいつも路上駐車をしていたのですが、当て逃げやいたずらの傷が絶えず、去年に買い替えを機会に、納車前からガレージ探しを始めました。ガレージ探しの方法には大きく分けて2つあります。そのひとつは、不動産情報や地元の掲示板のオンライン版で探す、もうひとつは道路に立つ道路標識等に貼り付けてある『ガレージ空きます。●●通り何番地』等のメモに記載されている電話番号やEメールに連絡をして、内見をするという方法です。自分が居住しているアパートではない地下駐車場を借りるという事もざらにあります。私が住むアパートの地下駐車場はあいにく満車で、他を探す必要がありました。
集合住宅が立ち並ぶ地域という事もあり、なかなか近所にガレージの空きがないままに、納車を迎えました。その後、ガレージが見付かるまでの半年もの間には、路上駐車をせざるを得なかったのですが、縦列駐車が下手くそな人からバックで思い切りぶつかられたと思ったら、近所の若い女性のバックモニター付きの自動車に、バックでぶつかられて、買ってから僅か半年でサイドに深く大きな傷を付けられて大ショック!その上、相手の保険の不備で、弁護士さんのお力を借りざるを得ないトラブルに遭ったりで、もう自宅近辺の縦列駐車には辟易し、精神的にも厳しいので更に真剣にガレージを探す日々となりました。
ところで、ヨーロッパに旅行や出張でいらっしゃる方から、「縦列駐車は当てて出し入れしてもいいんでしょ?」と毎回のように聞かれますが、ドイツはアウトです! もしも、レンタカーでうっかり縦列駐車中に当てて傷を付けてしまった場合は、例え小さな傷であってもすぐに警察に電話をしましょう。
ドイツ人は明らかに自分に非があっても絶対に謝りません。過去何度もトラブルに遭った経験上、こんなに腹の立つ事はありませんでした。警察が100%、相手側に過失があると判断されても、です!「故意ではなかった」「知らなかった」と言い訳ばかりで、ことばもでません!したがって、日本人のように、後に菓子折りを持ってお詫びに来るなんて事は絶対になく、近所なので事故を起こした人物を時折見掛けますが、無視を決め込みます。「その節はすみませんでした」の一言もありません。愛車は自分で守らないとバカを見るという事が沁みました。
さらに当て逃げや傷、そして私の目の前の下手くそな縦列駐車をする人にぶつかられて警察沙汰になった際、私が被害者にも拘らず、ミュンヘン警察はまず第一に私を保険金詐欺者の疑惑があるとして毎回聴取されるのが物凄く許せないです!
ミュンヘンの都市部の駐車場の多くはアパートの地下や中庭にあります。最近建ったような新しい物件では平置きの駐車場も多いのですが、その他は殆どがデュプレックスという機械式の駐車場になります。コロナ禍前までは平置きで一台ずつ鍵の掛かるセキュリティバッチリの駐車場を借りていましたので、正直デュプレックスにはとても抵抗を持っていたのですが、予算内に借りられる駐車場はもはやデュプレックスしかなく、ひたすら内見に行く日々を数ヶ月過ごしました。
私の愛車は決して大きくないのですが、十分に乗り降りできるスペースが確保できるデュプレックスが本当に少なくて、ガレージ探しは大難航しました。私の愛車はチューニングはしておらずノーマルのままですが、上段の場合はパレット部分の角度により車高やマフラーが直撃するのでアウトなんて事や、クルマを停めるとパレットの左右が5㎝程しか余白がなくてドアが開くスペースがなく降りられないという事も・・・。
また、一番の難所はその急なガレージの出入り口。どこもクルマ一台がギリギリに入れるような間口を入り、すぐに急な狭い下り坂です。それだけなら良いのですが、その坂が急カーブの螺旋になっていると所も多くありました。一番近所に見つけたガレージは、アパートの建物自体は新しそうで期待をしていたのですが、その急な螺旋の出入り口がかなりのネックで、降りる時はまだよかったのですが、地上に出る際に、あまりにも勾配が激しすぎて大難儀!一気に加速をしながら右回りの螺旋の絶壁のような坂を上りながら、すぐにハンドルを戻さなければなりません。
何度上がろうとするも、後輪駆動車なのでリアタイヤが空回りしてゴムの焼けるにおいがガレージ中に充満します。その坂の長さはたった5~6m程なのですが、傾斜が強すぎるのと、狭すぎて常にセンサーが鳴りっぱなし。勢いよくアクセルを踏みすぎると左の壁に激突しますし、右の壁ももう隙間はありません。壁には色々な塗料の擦り傷だらけで焦ります。トラクションコントロールを外して、何度か再チャレンジの末、無傷で何とか脱出成功(苦笑)。
「慣れると大丈夫」と大家さんはおっしゃいましたが、毎回冷や汗だらけは御免です。本当にガレージ探しがこんなに大変になるとは考えておらず、心が折れそうになりました。
もう諦めていた頃に、自宅から2ブロック先のアパートの地下駐車場に何とかやっと決まりました。ただ、かなり錆のある古いタイプで、二台置けるスペースの左側はプレート部分がさびて底抜けの心配があるので使用禁止。その分、私はドアを十分に開けられるスペースが使えるのですが、右側も錆が酷く、違う意味でちょっと心配ですが、予算以内に何とか収まりました。ここはまだ少しマシですが、やはり出口へ向かう際には螺旋の急な坂で一度タイヤが空転する箇所があるのが難所です。
私が住む地区はBMWの本社や1972年に開催されたミュンヘンオリンピックの開催跡地の広大な公園があるエリア。ミュンヘンオリンピック前後に造成された住宅街なので、ガレージの出入り口やデュプレックスも当時の自動車の大きさで作られており、最近のクルマではコンパクトカーレベルでしか入らないところも多いのです。
ミュンヘンの街ではフェラーリ、ポルシェやベントレーをはじめ、かなりの高級車が縦列の青空駐車をしていて心配じゃないのかな?といつも疑問に思っていたのですが、駐車場に入らないという事が身を持って分かりました。ちなみに車高が低めの私の愛車でさえ、デュプレックスの車高制限が150㎝なのでトランクが完全に空けられない状態です。SUVはもちろんの事、かなり多くの車種が車高と車幅でアウトになります。
近所のオリンピック公園には、普段でも週末には多くの観光客が訪れて大変な事になりますが、敷地内のスタジアムでは新シーズンからサッカーのブンデスリーガが再び開催される予定となり、野外コンサートの他、様々なイベントの度に近所は大渋滞でいつも大迷惑!公園の駐車場に入り切れないクルマが住宅地へ流れてきますので、住民が停めるスペースがなくなって家に帰れないだけでなく、違法駐車で溢れ帰り、イベント後は当て逃げが頻繁に発生しますので駐車場を確保しておくのは自衛の意味でも賢明策なのです。
突然の大雨で地下が浸水した事を伝えるニュースを見る度に、当て逃げの心配は減ったとは言うものの、次は浸水の心配も多いのですが、取り敢えず何とか次のガレージが見付かり、路上駐車を避けられてほっとしています。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。
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