【比較試乗】「アルピーヌA110 vs A110S」A110の高性能バージョンはどこがどうスゴいのか

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2020/07/02 08:00

往年のアルピーヌA110をモチーフに、その現代版として登場したライトウェイトスポーツの「A110」。そんなA110に高性能版の「A110S」が追加された。外観上の違いは、ロゴマークが変更されていること、また内装にアクセントが加えられている程度だ。ここでは改めて走りを中心に2台の違いを比較してみる。

A110Sはチューンでよりスポーティに!

A110とA110Sの違いは、スポーツ走行において無駄な動きを省き、よりクルマとドライバーが密な関係を作るためのチューニングだ。平たく言ってしまえば、「スポーツドライブを楽しむためのチューン」ということになる。

ALPINE A110 PURE

A110だって十分にスポーツでコントロールの楽しさがある。まさにそのとおりで、ボク自身A110Sに試乗した後でも、もし所有できるならA110ピュアがいいかなと思うくらいに魅力的だ。では、具体的にA110SはA110と比べ何がどう違うのだろうか。足回りは、バネレートを前30→47N/mm、後60→90N/mmと約50%高めている。スタビライザーは前17→24N/mm、後0→15N/mmに変更されている。

ALPINE A110S

タイヤはA110S専用構造、専用コンパウンドのミシュラン・パイロットスポーツ4。A110と比べて明らかにコンパウンドグリップに差があり、旋回スピードが速い。そして、それ以上に印象的なのが無駄な動きが少なくなっているのだ。ステアリングを切り出した時の応答の精度、旋回中の姿勢の安定度、ブレーキをフッと離した時のノーズの素早い収まり、路面の凹凸を乗り越えた時の姿勢の収まり方、そうしたクルマの動きの一つ一つに余計な動きがない。

ENGINE/A110に比べて最高出力が40ps増したA110S。エンジン自体はA110と同じ1.8L直4ターボだが、パフォーマンス向上のためにターボのブースト圧を上げている。

エンジンはターボのブースト圧を0.4bar増加し、252ps/320Nmから292ps/320Nmに引き上げられている。一般的にはブーストアップはトルクアップするのだが、A110Sは最大トルクを抑えトルクバンドを広げることでパワーアップ。

INTERIOR/A110とA110Sのインテリアのデザインは変わらないが、A110Sの随所にオレンジステッチが施されるほか、カーボンファイバーやマイクロファイバー(ディナミカ)が採用され、よりスポーティな印象に。

パワーアップの効果は、迫力の加速性能……ではなく、加速の伸びに大きく反映していて、各ギアの伸び、ギアのつながりが気持ちよくなっている。パワー感トルク感が明瞭になって鋭さを増した印象がある。それと同時にアクセルに対する応答、アクセルオン/オフのメリハリが効いているのだ。

A110もアクセルオフのコントロール性は悪くないが、スロットルの閉じ方はタックインが控えめに出るようスロットルをゆっくり閉じている。それに対してA110Sは、シビアにならない範囲でスパッとスロットルが閉じる。だから、アクセルオン/オフでの姿勢をコントロールしやすい。例えば、筑波サーキットのダンロップコーナーでアクセルを一瞬オフにして軽くリアを滑らせてクルマの向きを変えた時、A110のほうがリアの滑り出しが穏やかで控えめ。対してA110Sはスパッと歯切れよく滑り出す。ただこのスライドの動きは速めだが、直後にアクセルに足を乗せると、スライドがスーッと収まる。

ALPINE A110 PURE/初代アルピーヌ A110の登場から56年、2017年に復活を遂げたアルピーヌA110。日本では2018年に発売が開始。特徴的な丸目4灯ヘッドライトにはフルLEDを採用する。足元には、軽量なFuchs製の鍛造ホイールを装着する。

そんな具合に、アクセルの微妙なコントロールができないとA110Sはちょっと手強いかもしれない。ただ、それさえ覚えてしまえば、A110Sは一段深いところでスポーツドライビングを楽しめるはずだ。

ALPINE A110S/A110Sのルーフには、スポーツ性を際立たせる光沢仕上げのカーボンルーフを採用。また、オレンジブレーキキャリパー、ブラックエンブレム等が特徴。タイヤサイズはA110と異なり前215/40R18、後245/40R18となる。

サーキットをメインに楽しむなら文句なしにA110Sだろう。ただ、街乗りやワインディングで楽しむのであれば、A110Sのストイックさは時として少々疲れるかもしれない。ボクが所有するならA110ピュアがいいかな、と思ったのもその部分だ。

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada、郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年7月号より転載

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