ドイツのシェアリングサービスが抱える問題とは?【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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自転車での違反は日本よりずっと厳格

日本国内でもすっかり定着した感のあるシェアリングサービスだが、いち早く導入していた欧州・ドイツが抱える問題とは? ミュンヘン在住の池ノ内ミドリがリポートする。

私がもう18年近く住む街、ドイツのミュンヘンでは他のドイツの大都市と同様に、ちょい乗りの乗り捨てレンタルブームが長く続いている。
最初はカーシェアリングから始まり、今や電動自転車に電動原付自転車に電動キックボードとなんでもありだ。例えば、出先で公共交通機関を利用する程でもない距離だが、歩くには少し遠い場所へ向かおうとした場合に、目の前に乗り捨てレンタルの電動自転車やキックボードがあれば、安く便利に短時間から気軽に利用できるというのがコンセプトだ。

ミュンヘン公共交通機関のMVGが運営するレンタル電動自転車には、定期券所有者には利用割引が利等、利用特典もある上、常に交通状態の市内への自動車での乗り入れを制限する目的もある。専門の業者が定期的に充電や洗車をし、また歩道脇等に設置して自由に乗って行けるように整備をしているのだが、中には自転車のかごはゴミの山になっていたり、道路の植え込みに投げ捨ててあるのも見掛ける等、街のそこら中に乗り捨ててある為に、オーバーキャパシティを感じている。

電動キックボードは各レンタル会社につき1000台までと制限をしているが、一体どれだけの台数が正式に稼働しているのか、目視の状態ではそう多くはない。

自転車専用道路が整備されているミュンヘンでは、自転車の交通規則は自動車と同じ。右側一方通行が原則で、逆走・無灯火・歩道走行・赤信号無視も自動車と同様に罰金も切符を切られて罰金刑となり、もちろん観光客がレンタルの電動自動車や電動キックボード等に乗って、交通違反を犯せば、同様に罰せられる事となる。

警察官に停められて、まずは口頭での注意に留まり「次回から気を付けてくださいね」という日本のような事はなく、すぐに身分証明書の提示を求められ、注意となぜ違反なのかを説明した上で、すぐにその場で切符が切られるのがドイツの警察で、言い訳をしても見逃されない。

2019年から法律で電動キックボードのレンタルが解禁されたと同時に、急速に増えた。電動キックボードの走行に関しては、既にドイツでは法律が制定されているものの、ユーザーの認識が確立しておらず、いきなり駐車中のクルマの間から飛び出して車道を横切ったり、歩道をゆっくりと歩いているお年寄りや幼い子供の間をすり抜けたりとむちゃくちゃな危険走行をする者も多くない。また、ヘルメット着用が推奨されているものの、このような乗り捨ての電動キックボードには一緒にレンタルされていないのが実状だ。旅行者でも気軽に利用できる便利さと、交通ルールの周知や理解、罰金罰則に関しては、ドイツ国外から訪れる者にはなかなかハードルが高い。

電動キックボードの基本ルールは以下の通り
右側通行、自転車専用道路の走行と自転車専用信号に従う事、方向指示は手信号で表示義務、18歳以下の走行は禁止、並走禁止等。
ちなみに、電動キックボードで切符を切られた場合の主な罰金例を挙げると、無灯火および法定の照明器具の不設置(故障も含む)20ユーロ、歩道を走行または道路を逆走した場合15ユーロ、赤信号無視は60ユーロと自動車免許所有者には1点加算(ドイツは加算方式)等となかなか厳しい。
また、飲酒運転には血中濃度0.05%以上の場合は500ユーロと3点加算、更に1か月の免停処分が科されるので、ドイツに旅行で訪れて、お酒を飲んで近くのホテルまで電動キックボードまで帰ろうとする際には要注意だ。
ドイツではレンタル品だけではなく、個人所有の電動キックボードにも登記と保険の加入が義務付けられているが、それなしで走行した場合にも罰金が科される。

使い方は簡単、車体に付いているバーコードをスキャンする、もしくは専用アプリをダウンロードしてクレジットカードやPaypal、デビットカードのナンバー等を登録し、解錠、そのまますぐに走りだせる。

ここミュンヘンでは公共交通機関のMVGをはじめ、複数のレンタル会社があり、多少の金額の差はあるものの、電動キックボードは最初に基本料金となる1ユーロがかかり、そこから1分につき15~25セントが加算されていく仕組みだ。他にも電動自転車や電動バイクも使い方は同様だ。電動バイクはヘルメットの着用が義務付けられており、後部の荷物ケースに収納されているが、不特定多数のユーザーが使用するヘルメットを被るのには少し抵抗が・・・。

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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