【国内試乗】「BMW アルピナ・XD4」SUVにして、この走り!

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4基のターボ・チャージャーとコモンレール式の高圧ダイレクト・インジェクション・システムを備えた3L直6エンジンを搭載するXD4。このドライブトレインがもたらす爽快感は、SUVでありながら比類なきスポーツ・ディーゼルの歓びを教えてくれた!

アルピナの知見がもたらすクアッド・ターボの完成度

欧州メーカーは、先端技術を投入していち早くディーゼルのクリーン化を実現した。ところが、日本では市場の扉が閉じたまま。その扉をこじ開けたのが、BMWアルピナだ。ストレートにアルピナ・スポーツ・ディーゼルの誕生をアピール。2Lの直列4気筒ツインターボを積むD3ビターボは積極的にアクセルを踏みたくなる、まさにスポーツとしてのドライビングが楽しめるモデルだった。

試乗車はトリムにBMW Individualのピアノブラックを採用。メーターはベースとなるX4(日本仕様)に先行してフルデジタル表示に進化。デザインはアルピナのオリジナルだ。

それから10年余り、欧州メーカーはもちろん、日本メーカーもクリーンディーゼル搭載モデルを続々と投入。ただ、スポーツ・ディーゼルというアピールは聞こえてこない。唯一の例外は、3Lの直列6気筒ツインターボを搭載するX3のM40dだろうか。

低圧用と高圧用のターボは回転域により作動が変わるシーケンシャルではなく、アクセル操作により状況に応じて役割分担される。

さらに、アルピナはスポーツ・ディーゼルの究極に位置づけられるエンジンを新開発してきた。3Lの直列6気筒ターボには、なんと4基(クアッド)のターボチャージャーを装備。低圧用と高圧用からなる2ステージターボをパラレルで組み合わせるシステムだ。振り返れば、D3ビターボもツインとはいいながら低圧用と高圧用を組み合わせていただけに、2ステージターボについては十分な採用実績があるわけだ。

試乗車はトリムにBMW Individualのピアノブラックを採用。メーターはベースとなるX4(日本仕様)に先行してフルデジタル表示に進化。デザインはアルピナのオリジナルだ。

それだけに、X4をベースとするこのエンジンを積むXD4は極めて高い完成度を得ている。8速ATをDレンジにしたままでも、アクセルを踏み込むとトルクがリニアに立ち上がる。アクセルを踏み込んだ瞬間にトルクがカタマリになって飛び出してくるとか中回転域にかけての盛り上がる方が刺激は強いが、それではアルピナらしい洗練度とはかけ離れてしまいかねない。つまり、リニアな特性こそが2ステージターボをパラレルに組み合わせクアッドターボとした狙い所といえる。

しかも、X3をベースとする2ステージターボだけを組み合わせた3Lの直列6気筒を積む日本仕様のXD3と比べ、最大トルクを70Nm上乗せし770Nmを発揮。それだけではなく、高回転域のパワーの伸びが大きく異なる。最高出力は388psに達し、5000rpmまでパワーを維持する。

シートにはアルピナのエンブレムがあしらわれ表皮には上質なヴァーネスカ・レザーを採用。ベースのX4と同様にスタイリッシュでも大人4名がくつろげるスペースを確保。

実際に、3000rpmを超えるとトルクが回転数の上昇にともなってパワーを稼ぎ出し、加速が一段と勢いづいてくる。その際のエンジン音は、もはやガソリンとの区別がつかないほど官能的であり、グォーンではなくクォーンという感じで響く直列6気筒エンジンならではのサウンドとなる。

アクセルを踏み続ければ、4700rpmでシフトアップ。走行モードをスポーツにしてマニュアルシフトが可能なアルピナ・スウィッチ・トロニックのボタンを操作することで、タコメーターのゼブラゾーンが始まる5000rpmまでキッチリ引っ張れる。

空力性能を向上させる前後のエアロパーツはアルピナのオリジナル。4本出しエキゾースト・システムを含め標準装備。22インチのタイヤ&鍛造ホイールはオプションだ。

そんな爽快感が、ハンドリングからも確かめられることがXD4の特徴だ。ステアリングの手応えがスッキリと軽めであり、与える舵角に対してスイッという感じで気持ちよく向きが変わる。それでいて、AWDを採用するのでスタビリティの高さも実感できる。

ただ、路面が荒れているとタイヤの接地感の硬さが気になることもある。とはいうものの、サスペンションはスムーズに動いてくれるので突き上げをともなうことはない。アルピナらしい洗練度は、エンジンはもちろんシャシーの完成度により確かめられるのだ。

フォト=山本佳吾/K.Yamamoto ルボラン2020年5月号より転載

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