【比較試乗】「メルセデス・ベンツ GLE vs キャデラックXT6 vs BMW X5 vs テスラ・モデルX」3列シートSUVの実用性を

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ファミリーカーとして人気を博しているミニバンに待ったをかけるのが多人数乗車のSUVだ。ここでは、上陸したてのXT6を筆頭に、3列シートを備えるSUVを集めて、それぞれの実用性を確認してみた。

この4台はそれぞれ異なる個性の持ち主

コンパクトSUVブームのいまなお、強い存在感と高級感、高いステイタス性などが魅力の輸入プレミアムSUVは根強い人気を誇っている。余裕あるサイズを生かして、サードシートを用意するモデルは少なくないが、その位置づけはまちまち。今回比較試乗した4台も、その走りを含めて、それぞれ異なる個性の持ち主だった。

BMW X5 xDrive 35d M SPORT/BMWは車載カメラをドライブレコーダーとして利用する機能をコネクテッド・ドライブ・ストアで販売している。価格は2万8200円で、対象車両は新型X5、X7、3シリーズ、7シリーズ、8シリーズの5モデル。

輸入プレミアムSUVとして、真っ先に思い浮かぶのがBMWX5。2000年に登場した初代は、BMW独自のSAV(スポーツアクティビティビークル)というコンセプトのもと、SUVでありながらオンロード性能を重視したクルマづくりで一躍人気のモデルになった。その後、ポルシェ・カイエンやフォルクスワーゲン・トゥアレグなどが登場し、プレミアムSUVブームが巻き起こることになる。それだけに、X5抜きに、このクラスは語れないのだ。
現行のX5は2019年2月に登場した4代目で、一体型フレームのキドニーグリルやデジタル化されたBMWライブ・コックピットなど、最新のBMWデザインやインターフェイスを採用したのが特徴だ。
主力となるのは3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンを積むxDrive35dで、よりスポーティなMスポーツでは、標準の2列シート仕様に加えて、オプションで3列シート仕様を選ぶことができる。ただし、その場合には、他のパッケージオプションを組み合わせる必要があり、今回はXモデルとして初採用となる4輪アダプティブ・エア・サスペンションを含むドライビング・ダイナミクス・パッケージが同時装着された試乗車を借り出している。
X5では、2列目に3人掛けの分割式ベンチシートを、3列目に2人分の分割シートをそれぞれ採用する。2列目はスライド、リクライニングとも可能だが、2列目を一番前の位置に動かしても、3列目に大人が座るとニールームはほぼゼロで、膝が立つ窮屈な姿勢を強いられる。サードシートへは2列目を前に倒してアクセスする。操作は電動で楽だが、手動のように瞬時に操作できないのが不便。そういったところから察することができるように、サードシートは補助席としての位置づけで、ふだんはサードシートを収納して広い荷室として使い、いざというときにおもに子供が座ることになる。
一方の走りは、力強い3Lディーゼルエンジンは吹け上がりも軽く、実にスポーティ。4輪エアサスペンションは快適な乗り心地を示すが、コンフォートモードではSUV特有の揺れが気になることがあり、ほどよく引き締まったスポーツモードが好ましく思えた。

MERCEDES-BENZ GLE400d 4MATIC SPORTS/GLEの「アクティブブレーキアシスト」は前走車、自転車、歩行者などとの衝突の危険を警告。ブレーキ圧の補助や自動ブレーキで、衝突回避・被害軽減をサポート。さらに、自動ブレーキで右折時の対向車との衝突回避を図る機能も加わっている。

X5のライバルとしてよく名前が挙がるのがメルセデス・ベンツGLE。こちらも、現行型は2019年6月に日本導入がスタートしたばかり。Sensual Purity(官能的純粋)というデザイン思想で形づくられた丸みの多いフォルムや、タブレットを2つ横に並べたようなワイドスクリーンが特徴のインテリアなど、こちらも最新のメルセデス・デザインを採用。そして、この最新型から3列シート仕様が用意され、日本では全車標準でその仕様になるのも見逃せないポイントだ。
気になるシート構成は、X5同様、2列目にスライド、リクライニング可能な3人掛けの分割式ベンチシート、3列目には2人分の分割シートが搭載される。X5より若干ホイールベースが長いこともあって、2列目のニールームはX5よりも余裕があるものの、やはりサードシートはプラス2の域を出ず、2列目を前に出しても、大人が座ると膝が前の席に当たり、膝を立てるような姿勢になってしまう。サードシートの乗り降りは2列目を前に倒して行なう。こちらもスイッチを操作するだけでセカンドシートを倒すことができるが、やや煩わしさを感じるのはX5と同様で、ふだんは2列シートと広いラゲッジスペースを活用し、いざというときに7人乗りとして使うというのが適当だろう。
400dの3L直列6気筒ディーゼルターボは、最高出力330ps、最大トルク700Nmの数値が示すとおり、X5に輪をかけて太いトルクを発揮し、さらに力強い加速を見せてくれる。このグレードに標準のAIRマチックサスペンションにより乗り心地は概ね快適だが、X5に比べるとピッチングやロールの動きが気になり、オンロードではX5のほうが落ち着いた印象である。

フォト=宮門秀行/H.Miyakado ルボラン2020年4月号より転載

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