驚くほどフラットな乗り味が美点!「ランドローバー レンジローバー イヴォーク」【JAIA輸入車試乗会】

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外観はもちろん、内装の進化が著しい

レンジローバー・イヴォークは、2008年に発表されたコンセプトカーがほとんどそのまま登場したことで話題になり、所謂コンパクトSUV市場に鳴り物入りで登場した車種である。その後は驚異的なスピードで販売台数を伸ばし、様々な国際的な賞を総ナメにしたことも記憶に新しい。
そんなイヴォークが昨年モデルチェンジを果たしたので、今回はその中のSE D180に試乗しレポートしたいと思う。

このクルマの魅力を知るにはまずSUV自体の歴史を理解する必要がある。なぜなら、レンジローバー・イヴォークの魅力はSUVの歴史そのものの延長線上に歴然と存在するからだ。
そもそも、SUVの発祥はJEEPを代表とした軍用車だ。そのタフさと走破性を日常用途の車にも転用しようというのが元来の発想で、そこにさらにラグジュアリーという付加価値を持たせたことがランドローバー発祥のきっかけとも言える。
さしずめロンドンに住む富豪が、荷物を満載して舗装されていない田舎道を通って郊外の別荘に向かう時に、いかに道を選ばず快適に移動できるかを追求して出た一つの答えがレンジローバーという車だったわけだ。ということは元来レンジローバーには、”街中での運転のしやすさ” ”オフロードでの強さ”そして”どんな状況でも快適であること”が求められているわけである。

デザインに関しては、ともすると2台を並べて比較しないと初代との違いが見つけられないほどにコンサバな変更だ。これは初代のデザインがそれだけ洗練されていたことの証とも言えるわけだが、細かい部分に目をやるとブラッシュアップも見て取れる。分かりやすいのはヘッドライトで、全モデルがLEDとなりデザインの自由度が増してより精悍な目つきとなった。またインテリアに関しては正常進化がぱっと見て理解できる。

初代はジャガーと共通のイグニッションONでニョキっとせり上がってくるダイヤル式のシフトが特徴だったが、新型は通常のシフトノブに変更になった。インパネ、メーター周りもタッチパネルでより直感的に操作できるようなより近代的な仕様で好印象だ。また、ステアリングに配置されたスイッチ類も使いやすく、手を離さずに親指で様々なメニューを操作することができる。

そして何より印象的だったのがシートだ。ユーカリテキスタイルと呼ばれるこのシートはユーカリ属の天然素材から作られていて、製造過程で環境に与える悪影響が従来の素材に比べて大幅に軽減される。そのくせ表面のさわり心地がサラサラとして非常に上質で、なおかつその座り心地も硬さとホールド性のバランスが絶妙で、こんな座り心地のソファがリビングルームにも欲しいと思えるほど。レザーこそが高級仕様という従来の固定概念を見事に打ち崩してくれる出来栄えに感銘を受けた。

そして走りはどうだろう。正直に言うと先代はゴツゴツとした走りというイメージが強く、乗り心地が良いと評価するのは難しい部分があった。しかし今回はそこが見事に解消された印象だ。先ほどのシートの質感も相まって、非常にフラットで突き上げ感が少ない。ホイールベースが20mm伸びたことでフラットライド感が増し、剛性が13%アップしたことでよりサスペンションが効率的に衝撃を減衰しているのだろう。車全体を見た時に、個人的にはこの部分が一番進化したように感じる。

今回試乗したのは2Lのディーゼル仕様で 最高出力180ps/最大トルク430Nm。高速道路を含む一般公道での試乗だったが、これだけのトルクがあれば不自由することはまず無く、静粛性も先代と比べても大幅に進化していた。また今回は試すことが出来ていないが渡河水深は100mmアップの600mmとなり、オフロードでの走破性もより向上しているそうだ。

では最後に、改めてレンジローバー・イヴォークの魅力について整理しよう。冒頭にも言ったように、レンジローバーにはあらゆる状況での快適さとタフさが求められる。とは言え、フルサイズのレンジローバーを日本の市街地で乗り回すのはサイズ的にも些か便利とは言い難い。そこにきてこの新型レンジローバー・イヴォークは、サイズはより街乗りにマッチし乗り心地も上質。その気になればオフロード性能も申し分なく悪路をガンガン走ることだってできる。そんなスタイリッシュな本格SUVとして、ラグジュアリー志向のアウトドア派が日本で選ぶ車の1台として、さらに最適解に近づいたのかもしれない。

【SPECIFICATION】ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク SE P250
■全長×全幅×全高=4380×1905×1650mm
■ホイールベース=2680mm
■トレッド(前/後)=1625/1631mm
■エンジン型式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■内径/行径=83.0×92.2mm
■総排気量=1999cc
■最高出力=180ps(132kw)/4000rpm
■最大トルク=430Nm(43.8kg-m)/1750-2500rpm
■燃料タンク容量=67L(プレミアム)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前235/50R20(8J)、後235/50R20(8J)
■車両本体価格(税込)=6,790,000円

【問い合わせ】
ジャガー・ランドローバー・ジャパン https://www.landrover.co.jp/

フォト:柏田芳敬(Y.Kashiwada)

この記事を書いた人

山口礼

1983年生まれ。16歳よりモータースポーツ活動を開始し、英国でフォーミュラカーレースに参戦しながら本場のドライビング理論を学ぶ。帰国後は活動の幅を広げ、豊富な経験を活かして自動車ライターとしても活動を開始。そのドライビング技術を活かしてクルマの素性を引き出すリポートを得意としている。

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山口礼
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2020/03/20 09:00

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