グループ各社の連携に加え、パートナー企業との関係強化も推進
トヨタとトヨタ・ファイナンシャルサービスは、2019年4月、グループ横断のバーチャル組織である「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」を設立。これまで実証実験を通じたブロックチェーン技術の有用性検証やグループ各社とのグローバルな連携など、当該技術の活用に向けた取り組みを進めてきた。
トヨタでは、あらゆるモノ、サービスが情報でつながっていく時代においてブロックチェーン技術が生活する人々や事業者を「安全・安心」に、「オープン」につなぐことを支える有用な技術基盤であると考えている。
そこでモノづくりやモビリティサービス、今年1月7日に発表した「Woven City」など、幅広い領域でブロックチェーン技術活用の可能性を追求。今後の新たな価値創造を実現するため、技術的知見の蓄積やビジネス実装に向けた課題解決を推進していく必要から、これまで以上にさまざまなパートナー企業との連携を加速していく。
近年ではIoTの進展などによりモノ、サービスが情報でつながり利便性や効率性の向上をもたらす一方、情報の漏洩や改ざん、不正利用など、セキュリティ対応への重要性も高まっている。
「100年に一度」といわれる自動車業界の大変革の時代を迎えている中、トヨタはモノづくりを中心に、モビリティに関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティカンパニー」を目指している。その実現に向け、グループ内外の「仲間づくり」を進める上では、商品やサービスの利用者、それらを提供するさまざまな事業者が「安全・安心」のもとで、より「オープン」につながることが重要となる。
ブロックチェーンは「改ざん耐性が高い」、「システムダウンしにくい」などの特性を持ち、情報の信頼性を向上させることで多様な関係者間での安全なデータ共有を実現できる技術とされている。この技術が、グループ内外の仲間づくりを下支えし、その結果、利用者にとってより利便性が高くカスタマイズされたサービスの提供や事業の効率化・高度化。さらに既存の概念にとらわれない新たな価値創造をもたらす可能性があるという。
こうしたブロックチェーン技術の可能性を追求、取り組みを本格化するべく設立されたのがトヨタ・ブロックチェーン・ラボ。当該技術活用に向けた火付け役として、グループの知見を集約しながら有望な活用用途の企画検討や実証実験の推進を行なうとともに、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)、トヨタコネクティッド、北米トヨタなど、グループ各社とのグローバルな連携、パートナー企業との関係構築を進めている。
また、以下の取り組みでは特定の環境下における実証実験を昨年11月に完了するなど、各活用用途においてブロックチェーン技術の有用性を確認している。
検証を進めている主なテーマは、ユーザーを軸にグループ内外のID共通化・契約のデジタル化による利便性向上、ユーザー自身による情報管理の実現、ポイントサービスへの活用など。また、「車両」のライフサイクルに関わるあらゆる情報の蓄積・活用を通じた、各種サービスの高度化や新サービスの創出。「サプライチェーン」における、部品製造、発送などに関する情報の記録・共有による業務プロセス効率化やトレーサビリティ向上。さらに車両などの資産や権利など、さまざまな「価値のデジタル化」を通じた資金調達手段多様化への活用と、それによるユーザーや投資家との中長期的な関係構築としている。
今後はパートナー企業との連携をより拡げ、ブロックチェーン技術の活用可能性追求、ビジネス実装に向けた取り組みを加速させる。具体的には、有望な活用用途の更なる検討、関係事業者まで含めた実証実験等を推進し、世の中に数多く存在するブロックチェーン基盤についてパートナー企業と合同で非機能面での評価項目を策定するなど、当該技術の社会実装促進に向け取り組む。同時に各用途に適した基盤選定に向けた技術的な知見蓄積を図っていくという。