【国内試乗】「スズキ・ハスラー」全方位に進化を遂げたスズキの軽クロスオーバー

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軽ワゴンの乗用車とSUVを融合させたのが「ハスラー」。先代は2014年1月に発売され、新ジャンルの軽クロスオーバーとして大人気となった。早速その進化のほどをチェックしてみよう。

ファーストカーとしても十分に使える軽自動車

軽ハイトワゴンをクロスオーバー風に仕立て、そのクラスレス感が多くの人に支持されたハスラー。累計48万台以上も売れた大ヒット車を受け継ぐ2代目の開発には苦心したと思われるが、箱型フォルムのボディはタフなイメージを強調し、思い切ったデザインのインテリアは非日常感を演出。一歩踏み出した思い切りのよさを感じさせ、11色ものボディカラーを含め、所有する楽しさを満喫できるクルマといっていいだろう。

写真のような2トーンカラーも用意される。スズキ初の構造接着剤の採用によりボディの一体感が増し、走行時の静粛性も向上している。

サイドパネルやリアゲートを直立に近い形としたことで室内の余裕度は増し、ホイールベースの延長も加わって後席のレッグスペースも拡大。大人4人と大きな荷物を積むにはもうちょっとラゲッジスペースが欲しくなるが、後席を前後にスライドさせたりシートバックを倒したりする機構が操作しやすくなったことで、後席+荷室の活用自由度は高まっている。

NA、ターボともにISG(モーター機能付き発電機)を備えるマイルドハイブリッドを採用。100km/hまでモーターアシストを行う。

パワーユニットはNAが新開発のR06D型、ターボは現行スペーシアと同じR06A型を搭載。NAは排ガス対策主体の改良とされるが、ロングストローク化や高圧縮化、デュアルインジェクションの採用などがドライバビリティの向上にも貢献しており、数値上はパワーダウンしているもののアクセルを踏み込んだときのトルクの立ち上がりはよく、加速時も無理なく速度が乗っていく。高速走行ではトルクの太いターボに軍配が上がるものの、このNAエンジンの素性のよさは新型ハスラーの美点のひとつだ。

インパネは同形のワクを並べたデザインでプロテクト感を演出。

新プラットフォームの採用に加えて構造接着剤の効果などでボディの剛性は明らかに高まっており、荒れた路面でもしっかり感が保たれている。高速走行ではもう少し足回りがシャキッとすると走りやすくなるが、トレッド幅に制約のある軽自動車としては上出来の部類に入る。ファーストカーとしても十分使える資質を備えた軽クロスオーバーといっていいだろう。

ラゲッジルームには二重の樹脂ボードが備わり、後席のスライドにより荷室スペースを自在に調整できる。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2020年4月号より転載

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