マクラーレンGTはスポーツ、スーパー、アルティメットに続く第4のプロダクションシリーズだ。圧倒的な動力性能を持つスーパーカーでありながら、快適性や利便性も徹底追求。そんな国内導入間もないGTを公道に連れ出してお手並み拝見!
運動性能はキープしつつ優れた快適性と積載性を
マクラーレンとしては初となるグランドツーリングカー、その名もずばり「マクラーレンGT」が日本上陸を果たした。同社は「アルティメット」、「スーパー」、「スポーツ」と、これまで3つのシリーズを展開してきたが、GTはここに第4のシリーズとして加わり、今後さらにバリエーションを拡充させて行くのだという。
リアミッドシップに搭載される4L V8ツインターボエンジンは最高出力620ps、最大トルク630Nmを発生。0→100km/h加速は3.2秒、最高速度は326km/hとスーパーカー級のハイパフォーマンスを発揮する。
もっともマクラーレンはこれまでにもスポーツシリーズで「570GT」をラインナップしており、これがもっともベーシックな存在かつ、日常性能を満たす立ち位置に居た。具体的にはリアハッチを横開きさせ、220Lのツーリングデッキを用意し、フロントボンネット下と合わせて合計370Lの荷室容量を得ていた。
全長4683mmのボディはスポーツシリーズやスーパーシリーズより長く、グランドツアラーらしいエレガントなシルエットを持つ。電子制御サスペンションは、センサーで路面状況を読みとり、状況に応じて特性を変更する。
これに対して新生GTは、ボンネット下の容量は150Lと同等ながら、今回から跳ね上げ式としたリアゲート下には420Lと、倍近い荷室スペースを確保した。
実際それは機内持ち込み用のスーツケースが置けるほどの広さであり、ある種言い訳がましく聞こえた570GTの詰め込み感はかなり薄まった。ガラス越しに荷物が見えてしまうあたりはエレクトロクロミックガラスの設定が欲しいところだが、伴侶とふたりの小旅行であればスーツケースはフロントに収納し、リアに手荷物を置いて後方視界は良好、という使い方が十分にイメージできる。
インテリアにはGT専用の電動式ヒーター付きシートを採用。標準のナッパレザーはソフトグレインレザーかアルカンターラにアップグレードが可能だ。ドライバーの正面には12.3インチのTFTモニターをレイアウト。
そう。このマクラーレンGTは、どうしてもマクラーレンに乗りたいエンスージャストが、ワイフを説得するためにある一台。ラゲッジ用のリアシートとトランクを持つフロントエンジンのライバルや、どでかいSUVを相手にして奥方に「こっちがいいわ」と言わせないための、最後の砦なのである。
そんなマクラーレンGTで、次期オーナーが一番気になるのは、荷室を得たことによる動力性能の低下ではないだろうか?
全長4683×全幅2045×全高1213mm。ホイールベースは2675mm。このサイズは現行モデルにおいてスピードテールに次ぐ大きさ。ちなみに車重はDINウェイトで1530kgとなる。
この数値を570GTと比べると全長は153mm長く、全幅は50mm狭く、全高は12mm高い。ホイルベースは5mm長くて車重は32kg重たい、と言うことができる。