高性能版「ミュルザンヌ・スピード」をベースに、内外装やエンジンルームに「マリナー」による特別な仕立てを施す
1月14日、ベントレー・モーターズはフラッグシップサルーンの「ミュルザンヌ」の生産を今春で終了すると発表。特別限定車「ミュルザンヌ6.75エディション・バイ・マリナー」を世界30台限定で発売し、同車の有終の美を飾る。
1980年に登場した初代ミュルザンヌは、ベントレーを代表する4ドアサルーンとしてラグジュアリーセグメントのベンチマークを確立した。搭載される6.75L V型8気筒エンジンのデザイン、エンジニアリング、ハンドビルドはすべて英国クルー工場で行なわれており、現在生産されているV8エンジンのなかでは最も長い歴史を誇る。
このエンジンは、1959年に「ベントレーS2」モデルに初搭載されて以来、数十年にわたって幾度となく改良が施されてきたが、V8の象徴である基本的な構造やサイズは60年経ったいまも当時のままだ。この限定モデルの名称にある「6.75」とは、6.75Lエンジンが今年で60周年という節目を迎えたことにもちなんでいる。
この限定モデルのベースは、537ps/1100Nmを発揮する6.75L V型8気筒ツインターボエンジンと8速ATを搭載した高性能バージョン「ミュルザンヌ・スピード」で、同社のビスポーク部門「マリナー」によって特別な1台に仕立てられている。
エクステリアでは、グロスブラックのブライトウェアを採用するとともにブライトクロームの縁取りを加えた前後ライトを装着。ボンネットフード先端のマスコット「フライングB」や、「マリナー・セレニティ」ラジエターグリル、そしてエキゾーストフィニッシャーはダークティンテッド仕上げとされ、より引き締まった、洗練されたアピアランスを実現。ミュルザンヌ・スピード専用の21インチ5スポークホイールはブライトマシニング仕上げだ。
エンジンルームでは、インテークマニホールドを従来のシルバーからブラックに変更。エンジンナンバープレートには、そのエンジンを組み立てた職人のサインを入れるのが通常だが、この限定モデルでは、同社のエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOのサインが入る。
インテリアにも限定モデルならではのディテールが見られる。用いられるレザーはシングルトーンで「インペリアルブルー」「ベルーガ」「ファイアーグロー」「ニューマーケット・タン」の4種類を設定し、専用のカラースプリットを採用。シルバーのシートパイピング、センターコンソール周囲のレザーハイド、ディープパイルオーバーマットのバインディング、シートとドアインサートのパーフォレーテッドレザーから覗くアクセントカラーなどがインテリアに趣をプラスする。
センターコンソールとリヤキャビンコンソールのウッドパネルはシルバー塗装とされ、フロントコンソールには金属製の記念プレートがはめ込まれる。また、フェイシアとウェストレールは高光沢のグランド・ブラック仕上げとし、ウェストレールには「ダークエンジンスピン」模様をあしらったアルミニウム製インサートが装着される。
さらに、エアベントの操作ノブは「オルガンストップ」仕様ではなく、エンジンオイルキャップをミニチュア化したデザインに変更。そして「6.75 EDITION」のモチーフは各シートに刺繍されるほか、エクステリアとエンジンルームにもこのモチーフをデザインしたクロームバッジを装着。LEDウエルカムライトにもこのモチーフが投影される。さらにインスツルメントパネル中央に設置される時計とマイナーゲージの表示面にはエンジン断面図を模したデザインを用いるなど、細部にまでこだわった仕立てが光っている。
この限定モデルをもって、ミュルザンヌは今春その生産が終了する。ミュルザンヌの後を継いでベントレーのフラッグシップサルーンとなるのは「フライングスパー」だ。なお、ベントレーは2023年までに全モデルにハイブリッド仕様車を導入する予定で、すでにSUVのベンテイガにはハイブリッドモデルが設定(日本未導入)されている。