【サーキット試乗】「トヨタ ヤリス」名称を刷新して登場したトヨタの世界戦略車

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初代の誕生から20年という節目で、日本名ヴィッツが新型ヤリスとして発表された。そのハードウェアは、すべてを一新。トヨタによれば、従来的なベーシックカーの域を超えた走りが魅力というが出来映えのほどは? 実際の発売は2020年2月からだが、ここではそれに先立ち実施されたプロトタイプ試乗会から実力の片鱗を探ってみよう。

絶対性能だけでなく走りの「質」を語る存在に

3代続いたヴィッツの名を改め、日本でも海外と同じくヤリスと名乗り心機一転を図る4代目。その中身も、トヨタがいう新世代コンパクトに相応しい内容に一新された。基本となる骨格は、TNGAの第4弾となるGA-Bを初採用。先代ヴィッツと比較すると50kgの軽量化を実現する一方、捻り剛性は30%以上高くなっている。またアッパーボディの軽量化や部品の小型化、乗員や主要コンポーネンツのレイアウト見直しで重心位置は10mm近く下がり、左右バランスも最適化されたという。

構成こそ従来と同じだが、足回りも前後新設計に。味付けは、仕様を問わずしなやかなテイストだ。ベーシックカーながら、運転支援システムのメニューも充実している。

搭載エンジンも、主力の1.5L 3気筒ガソリンを新開発。自然吸気ながら全域でトルクが増強されたほか、熱効率も従来より2%向上している。また、この1.5Lに組み合わせるハイブリッドもシステムは初モノ。高効率にしてコンパクトなトランスアクスルやパワーコントロールユニット、充放電効率を高めた駆動バッテリー(リチウムイオンセル)の採用によりモーター出力は従来比で約30%向上、伝達損失は約30%低減された。現状、公式な数値は未発表だが燃費性能は世界最高レベルを目指して開発中という。

ボディは、従来型比で全長と全高がそれぞれ5㎜と30㎜サイズダウン。その一方、ホイールベースは40㎜拡大されている。

このほか、エンジンは法人需要を想定した改良版1Lガソリンもあるが駆動方式は1.5Lとハイブリッドに4WDを設定。ツインモーターとなる後者は、トヨタのコンパクトカーで初採用となる。なお、ガソリン車のギアボックスはCVTが基本で1.5L用、1L用ともに新規開発。前者は発進用ギアを組み合わせるなど、いずれも従来よりギア比がワイド化され経済性向上に貢献する。また、1.5LのFF仕様に限りCVTだけでなく6速MTが選択できることもマニア的には注目ポイントといえるかもしれない。

スタイリングは前傾気味のコンパクトなグラスエリアと、特長的なサイドのキャラクターラインで躍動的なイメージを演出する。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2020年1月号より転載

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