【国内試乗】「マツダ CX-30」は激戦のコンパクトクロスオーバー試乗に新風を吹き込めるか!?

新たなクロスオーバーSUVの方向性を示す

パワーユニットは2L NAのガソリンと1.8Lディーゼルターボに加え、発売は2020年2月となる火花点火制御圧縮着火(SPCCI)+スーパーチャージャーの2Lガソリン「スカイアクティブX」を用意。今回はNAのガソリン車とディーゼル車のみの試乗となったが、6速MTも選べるガソリンエンジンは、ごく実用的な黒子的パワーユニットながら1.5トン弱のボディを過不足なく走らせる。シフト感を丹念に作り込んだというMT車はシフトストロークもちょうどよく、3ペダル車に抵抗のない人にはお勧めだ。

2Lガソリンエンジンは156ps/199Nmのスペックで過不足のない実用エンジン的なフィーリング。

一方のディーゼルは中速域はトルクフルで気持ちいいが、低速域ではややトルクが薄く感じることも多く、それをカバーすべくアクセルを多めに踏み込むとディーゼル音が高まるなどシングルターボの限界を感じる。実用域では6速ATで問題ないが、この低速域をカバーできる多段ATがあれば、と感じるシーンも少なくなかった。

1.8Lディーゼルターボは116ps/270Nmながらもうちょっと低速域でのトルク感が欲しくなるシーンも。

ボディ、シャシーの一体感は高く、ステアリング特性も含め意のままに操れるマツダ車の美点はしっかり受け継がれている。操舵に対する反応はマツダ3と比べると穏やかで、高速道路のランプウェイなどに高めの速度で入っても、ロールを許容しながら安定したハンドリングで抜けていける。車重はディーゼル車が50㎏ほど重いが、前後の重量配分はガソリン車が前60:後40、ディーゼル車が前61:後39と大きく変わらず、ディーゼルが特にフロントヘビーという感覚はない。

運転席の着座位置はマツダ3より86㎜高く、視界のよさと乗り降りのしやすさを両立。

スカイアクティブXの出来映えは未知数ながら、プレミアム感あふれるスタイルを含め、新たなクロスオーバーSUVの方向性を示す1台となりそうだ。

後席のレッグスペースはひと回り大きいCX-5と同等で、ヘッドスペースは見た目以上に広い。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2020年1月号より転載

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