【国内試乗】「 ボルボS60」スカンジナビアン・プレミアムの誘惑

一気に主役に躍り出る可能性すら秘める

今回は、このうち中核モデルといえるT5インスクリプションを試乗したが、第一印象は総じてよかった。基本的に運転席まわりの設えはV60と共通だから、身構えることなく乗り込んでサッと走り出すが、ほんの数分でリズムが掴めてしまうほど、その身のこなしはごく自然で軽快。エンジンシしかりシャシーしかり、あらゆる操作に対してリニアでダイレクトなレスポンスが心地いい。

室内はミドルクラスにして必要十分なスペースを確保。ホイールベースの拡大により後席ニースペースは先代に対して+36㎜のゆとりを生んでいる。

2L4気筒ターボは、立ち上がりでほんのわずかにアクセルを踏み込んだ瞬間からトルクはついてくるし、そこからの伸びもスムーズで滑らか。8速ATのマナーもよく、必要なときに必要なだけの加速を引き出すことができる。ひとつだけ注文をつけるとすれば、もはやシフトパドルの装着は必須。特に、今回は山道を中心としたシチュエーションだっただけに、余計にそう感じさせられた。

そう積極的に走らせてみたくなるのは、そのフットワークが軽快だからに他ならない。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアが樹脂製のリーフスプリングを用いたマルチリンクという構成で、これがしなやかによく動く。あらゆる走行モードでフロアは終始フラットに保たれ、無闇に身体が揺すられるようなことはない。コーナーの連続でもボディの無駄な動きはきちんと抑え込まれているから、臆することなくステアリングを左右に切っていける。このあたり、スポーティセダンといっても差し支えないほどの運動性能の持ち主といえる。

トランクルームも先代から大幅に拡大。後席シートバックは60:40の分割可倒式で用途に応じてアレンジできるほか、トランクスルー機構もつく。

現在、日本市場におけるミドルクラスセダンはドイツのプレミアムブランドが優勢だが、そこに割って入っていけるだけの実力は確実に備わるS60。むしろ、モダンかつクリーンなイメージで、一気に主役に躍り出る可能性すら秘める。SUVでの成功が、その導火線になりそうな予感がする。

T5のホイールは18インチが標準で、写真はオプションの19インチ。タイヤは専用のコンチネンタル・コンチプレミアムコンタクト6を装着していた。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2020年1月号より転載

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