【海外試乗】「ポルシェ911カレラ」やや遅れてやって来た魅惑のエントリーカレラ

待望の“素”が登場

インテリアは、初代911を彷彿とさせる水平基調のデザインに最新のデジタルデバイスを組み合わせたモダンなもの。伝統の5連メーターは、中央のタコメーターのみアナログで、周りの4つはデジタル液晶になった。スマートキーゆえシリンダーに鍵をさすという行為は必要なくなったけれど、ノブを右にひねって始動する伝統の儀式は踏襲されている。

インターフェイスはセンターのタコメーター以外デジタル式となったが、ポルシェ伝統の5連メーターは健在。

GPFの影響なのか、暖気を終えたエンジンは思いのほか静かだ。用意された試乗車のすべてにオプションのスポーツエキゾーストが装着されていたことに合点がいった。4000rpmを超えたあたりから抜けのいい音に変わる。アルミの比率を7割にまで高めたという高剛性ボディの影響もあって、静粛性も高い。フランクフルト市街地の荒れた路面からのショックも一発で吸収する。カレラには、リアアクスルステア(4WS)の設定はないが、ギア比は先代比で11%高められており、入力に対して素直に反応する。タイプ992では標準になった8速PDKは、低速域からスムースに変速を行ない、ノーマルモードでは効率を求めリズムよくシフトアップしていく。

フロントトレッドの拡大によってスポーツカーとしての性能を高めたのはもちろん、スタビリティも大幅に向上し、グランドツアラーとしての能力に磨きがかかっている。日本で先に試乗したカレラSほどの速さはない。しかし、アウトバーンやドイツ郊外のワインディングロードを走っていると、適度なパワー感、ミリ単位の操作に反応するステアフィール、911らしい意のままのブレーキフィールに魅了された。誰にでも扱いやすく、速く、快適に、911の根幹をなすモデルとして 「カレラ」は、確実に進化し深化している。

シフトレバーは991型よりもシンプルな造形に仕立てられている。

フォト=ポルシェジャパン/Porsche Japan ル・ボラン2019年12月号より転載

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