ESCの制御思想の違いが結果に影響を及ぼし、旋回性ではメルセデス・ベンツCLS450に軍配が【清水和夫のDST】#99-4/4

ESCの制御思想の違いが結果に影響を及ぼし、旋回性ではCLS450に軍配が

MERCEDES-BENZ CLS450 4MATIC SPORTS

●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:72.58km/h(2回平均)

メルセデスの場合、ダブルレーンチェンジは因縁のテストだ。初代Aクラスはスウェーデンのメディアによる「エルク(大鹿)避けテスト」でリコールに追い込まれたことがあった。以来、メルセデスはESP(ESC)のチューニングには気を遣っている。実際にCLS450の制御はきめ細く、ステアリングを操舵した瞬間に、制御がすかさず介入し、自然に車速を落としてレーンチェンジできる。“スポーツ+”モードにすると、ESPの閾値が変わり、多少制御が遅れて介入する。だから車速が高くなり、走行ラインが安定しない。ということで高速道路を走る時“スポーツ+”はオススメできない。

AUDI A7 SPORTBACK 1ST EDITION

●操縦安定性:★★★☆☆
●平均通過速度:76.49km/h(2回平均)

ESCの制御、特にブレーキの制動がやや唐突で、クルマの挙動が「カクカクカク」と不連続な動きを示した。最近の洗練された電子制御は、もっとマイルドに介入するため、A7の制御の進化に期待したい。だが、実際の安定性に置き換えてみると問題はなく、俊敏な動きなので、レーンチェンジはいとも簡単にこなしてしまう。課題はESCの介入制御のあり方だろう。電子制御はただ安定していればいいわけでなく、ドライバーがどう感じるかという目線も大切ではないだろうか。自動運転を目前にして、クルマの動きをシステムが制御する時代だが、ドライバー不在になってはいけないと痛感した。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2019年5月号より転載

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