ラングラールビコンベースゆえ悪路は大得意
日本でピックアップ・トラックに乗る人といえば、そのライフスタイルは大方の想像がつく。まず、メーカーはアメ車が中心となりフォードF150やラム1500、国産メーカーだとトヨタ・ハイラックスや並行輸入輸入されたトヨタ・タコマなどで、ジェットスキーをトーイングしたり荷台にスクランブラーを積載したりと、いわゆる趣味人のクルマとなる。
そんなピックアップラヴァーたちをときめかせたのは、2018年11月にロサンゼルス・モーターショーでワールドプレミアしたジープ・ラングラーベースのピックアップ・トラック「グラディエーター」の復活と発売(2019年)だろう。
今回は幸運にもジープを擁するFCA(フィアット・クライスラー・ジャパン)のチェルシーテストコースで、グラディエーターに試乗する機会を得た。乗ったのはモパーがフルチューンナップしたメタリックオレンジの「グラディエーター・グラビティコンセプト」だ。
まずは、その外観だが、2インチリフトアップ、チューブドア、グリルガード、5スポークホイール、Aピラー根元のLEDオフロードライトなどなど、かなりマッシブな雰囲気。前出の趣味人以外にもアウトドアビークルとしてもかなりアリなどではないかと感じた。いや、むしろ、アウトドアシーンの方がよく似合いそうだ。
今回はオフロードのみの試乗だったが、このモデルがラングラーベースで、しかも最上位グレードの「ルビコン」だったので、コース内に接待された「渡河性能」「接地性能」「最低地上高」「駆動性能」「操縦性能」の5つのテストセクションはなんの問題もなくクリア。数値上では、ホイールベースが長い分、ロードクリアランスが不利となるシーンがあるかと思ったけれど、モーグル路やキャンバー路でフロントのスタビライザーを柔軟にストロークさせられる「電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステム」をオンにすれば、まったく問題はなかった。
冷却や配管システムもモパーのチューンが成されているので、アクセルレスポンスも機敏でアクティビティ性も高く、オフロードコースをかっ飛ばせていただいた。
しかし、残念ながらグラディエーターとモパーのエクストリームパーツ類の正規導入は現在のところ未定だが、その可能性はゼロではなく、ジープのユーティリティやアクティビティを体感できるモデルとして、とても重要視しているとFCAの担当者は話してくれた。つまり、気持ちとしては導入したい、とのことだろう。
日本でピックアップ・トラックを日常使用する場合、「荷物が一番乗りそうで乗らない」などと揶揄されることもあるけれど、スーパーカーがそうであるように、ファミリーカーが当然として備える日常性を無視して、スポーツ性やアクティビティ性にスポットライトを当てたクルマは、やっぱり楽しいし魅力的。正規導入の期待に胸を膨らませ待つとしよう!
Specification
■全長×全幅×全高=5539×1875×1933㎜(※ルビコン仕様/ソフトトップ)
■ホイールベース=3487㎜■車両重量=2301kg
■エンジン種類/排気量=V6 DOHC16V/3604cc
■最高出力=285ps(209kw)/6400rpm
■最大トルク=353Nm(35.9kg-m)/4400rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=コイルリジット:コイルリジット
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ=245/75R 17:245/75R 17