【比較試乗】「フェラーリ・ポルトフィーノ vs ランボルギーニ・ウルス vs アルファロメオ・4Cスパイダー vs アバルト124スパイダー」が教えてくれるファン・トゥ・ドライブ

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イタリアンスポーツは個性が強い。いや、アクが強いといった方が良いだろう。しかし、アクの強さは強烈に人を惹きつけ、熱狂させるのもまた事実。今回の4台もベクトルを異にするが、ステアリングを握ればどれも最高に楽しい。ここでは、踊るラテンのスポーツカーを一台ずつレビューしていこう。

このアクの強さは、他の国ではありえない

快楽の国、イタリア。ヨーロッパいち美味しい食事と、美しい景色。フランスと並んで飛び抜けたデザインセンスを持ちながらも伝統を重んじる職人気質。そして、ラテン民族特有の陽気さ。イタリアで生まれたスポーツカーは、人生の楽しみ方を本当によくわかっている。結論から言ってしまうと、いま最もお勧めしたいのは、ランボルギーニ初のSUV、ウルスだ。「おいおい、SUVがスポーツカーってどういうことよ!?」
そんな声が聞こえて来そうだ。

LAMBORGHINI URUS/ランボルギーニ・ウルス、ファン・トゥ・ドライブという視点ではどれも強い個性を持った4台だが、最も現代的なスポーツカーという視点で考えるとウルスになる。人々の欲望を完璧に満たすという点でプレミアムSUVは現代のスーパーカーである。

しかしもはやSUVは、ブームを超えたスタンダードとなりつつある。そしてこの中にあって最も快適で速く、圧倒的な存在感を持つウルスは、まさに現代のスポーツカーであると私は思うのだ。
ウルスはまず、そのエッジの効いた見た目がいい。下半分をバッサリ切り落としたらまんまスポーツカーと言えるスタイリングは、SUVが持つある種の生活感をまったく感じさせない。インテリアなどはまさにウラカンやアヴェンタドールの世界観。水平基調のダッシュボードにはぴっちりとレザーが貼り込まれ、フル液晶のメーターやスイッチ類の近未来性とクラシカルの融合が、なんとも言えない贅沢な空間を演出している。

エアサスの快適な乗り心地。狭い路地を苦にしない後輪操舵。ここまで完璧な演出ができていると、むしろ欲望は肥大する。

650psという化け物のような出力もいいが、いっそのこと絶滅が目前に迫る珠玉のV10やV12を搭載してもよかったのではないか?
ボディ剛性だって、もっと上げてハンドリングをシャープにするべきだ。どちらもアベレージとしては十分刺激的だが、ランボルギーニとしての存在感を強めるなら、外観同様もっとエッジを効かせてもよい。それでも事実上初めてのSUVと考えれば100点。そしてプレミアムSUVが現代のスポーツカーになり得るというヒントをもらえた時点で、ウルスの存在意義は十分にあると私は思う。

フォト=安井 宏充/H.Yasui(Weekend.) ル・ボラン2019年11月号より転載

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