7.62×39mm自動小銃弾にも耐える防弾性能を持つ
BMWはこのほど、新型「X5」をベースにしたセキュリティビークル、「BMW X5プロテクションVR6」 を発表した。
実はBMWでは40年以上前からセキュリティビークルを製造している。1978年に「7シリーズ・セダン」をベースにしたモデルにはじまり、その後「3シリーズ」や「5シリーズ」でも展開。X5をベースにしたモデルは2004年に初登場し、以来ベース車の進化とともに改良が重ねられ、世界中のVIPの身を護るセキュリティビークルのベンチマークとなっている。
このたび登場したBMW X5プロテクションVR6は、ネーミングにも示されているように、防弾性能規格「VR6」の装甲レベルを有している。どの程度の装甲レベルかといえば、現在、世界で一般的に使用されている自動小銃「AK-47」から発射される7.62×39mm弾による攻撃や、4mほど離れたところから約15kgの爆撃に耐えられる性能が与えられているのだ。
この防弾性を得るために、ボディ各部には特殊な素材やパーツが用いられている。ドアやサイドフレーム、ルーフなどには高強度スチールを採用。アンダーボディやラゲッジルームには保護性能を強化するためのアルミパーツが用いられている。
ウインドーガラスには33mmの厚さを持つ多層ガラスを使用。さらにキャビンと荷室の間には車両後方からの攻撃に耐えられるよう、ポリカーボネイトを使用した間仕切りも追加される。
足まわりでは、特別に強化されたスチールスプリングを組み合わせるサスペンションシステムやブレーキシステムに専用の強化版を用いているほか、サイドウォールが特別に強化されたランフラットタイヤを20インチ軽合金ホイールと組み合わせて装着しているのが特徴だ。
このほか、手榴弾の攻撃にも耐えるアンダーボディアーマーや、ドローンから放たれる最大200gのC4爆薬攻撃にも耐えうる装甲仕様のルーフがオプション設定されており、さらにプロテクションのレベルを引き上げることが可能だ。
エンジンは523ps/750Nmを発揮する4.4L V型8気筒ガソリンターボ。特別仕立ての車両は、重量が一般的なX5より重くなっているにもかかわらず、0-100km/h加速を5.9秒でこなす。ちなみに最高速は210km/hでリミッターが介入する。
このモデル専用の装備としてはこのほか、ドアやウインドーを開けることなく車外の人とコミュニケーションが取れるインターフォンや、ボタンを押すとドアが自動的にロックし、運転席および助手席のウインドーが閉まる攻撃アラーム機能、フロントグリルやリヤウインドーなどに装着されたLEDフラッシャーなどが挙げられる。
また、このモデルも一般的なX5と同様に、コネクティッド機能やインテリジェントパーソナルアシスタントを含むインフォテイメントシステムが搭載されている。
これだけの装備・仕様が与えられていながら、ルックスはフラッシャーを点灯させなければ一般的なX5とさほど変わらない。この点もセキュリティビークルとしては重要な要素といえる。