ついにEVもトランスミッションを使う? ZFが乗用車用2速電動ドライブを開発

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エネルギーの効率化により航続距離が最大5%向上

ドイツのメジャーサプライヤー「ZF」は7月に、乗用車用の2速電動ドライブ「2スピードEドライブ」を発表した。

現在、日産リーフをはじめとするEVにトランスミッションは搭載されていない。無段変速のいわゆる“1速”のユニットが用いられているわけだが、このたびZFが発表した「2スピードEドライブ」は、140kWの新型モーターと2速の変速機構を組み合わせた、高性能な電動アクスルドライブとして登場した。

2速化のメリットについて同社は、エネルギー消費の削減(効率化)を挙げている。電気自動車はエネルギー変換効率を1%高めると、走行可能距離を2%延ばすことができるのだが、2速化することで、航続距離は最大5%向上するというのだ。モーターは発進時から最大トルクを発生させることができるため、EVはエンジン車に比べてスムーズに巡航スピードに乗せられるが、その一方で回転数が上がると発生トルクは下がってしまう。これを解消するために2速化が必要というわけだ。

パワートレインの効率化を図ることで、バッテリー容量はそのままに航続距離を伸ばすことができるほか、航続距離は変わらないが効率化されたぶんバッテリーを小型化することも可能。クルマのサイズやキャラクターなどに応じて、ふたつの選択肢が生まれることになるわけだ。さらに、「2スピードEドライブ」はコンパクトに設計されているため、室内空間を極力広くすることが求められる小型車にもメリットとなる。

ZFが発表した「2スピードEドライブ」では、車速70km/hで2速にシフトアップされるが、車両のCAN通信に接続することで、カーメーカーの要望に応じてデジタルマップやGPSなどと連携した独自のシフトスケジュールを設定することも可能だという。

さらに、カーメーカーの性能に対するニーズにも応えられる。これまではトルクかトップスピードのどちらかを重視してモーターを選択しなければならなかったが、「2スピードEドライブ」はその問題も解決。例えばトレーラーを牽引中の乗用車でも高速走行が可能になる。今回発表されたのは140kWモーターを組み合わせているが、モジュラー設計のため、250kWまでのモーターとの組み合わせが可能で、より強力な加速と最高速度も実現できるとのことだ。

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