【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Gクラス」「ランドローバー・レンジローバー」似て非なるラグジャリーSUVの最高峰

嶋田智之
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互いにセレブリティカー。でも本質は?

唯一無二の存在として、ドグマティックなまでに進化と再構を繰り返してきたメルセデス・ベンツGクラスとランドローバー・レンジローバー。日本ではセレブリティカーとして支持を得ている側面もあるが、本来は、ストイックなまでに最高峰を追い求めてきた、超硬派なSUVなのだ。

メルセデス・ベンツのGクラス。そして、レンジローバー。どちらもSUVのラグジャリー部門の頂点にあるモデルであり、誰もが意識的であるにせよ無意識であるにせよ“陸の王者”であることを認めざるを得ないモデルでもある。何せ今でこそSUVというカテゴリーの中で後追いのクルマたちと一緒くたにされてるようなところもあるが、かたや元をただせばNATO軍正式採用の軍用車を民生用に仕立て直したオフローダーをルーツに発展してきたモデルであり、かたや軍用にも使われたオフローダーの兄弟として、それ以上のラフロード性能と高級車然とした快適さを併せ持つクルマにすべく開発され進化し続けてきたモデル。どちらも出自は“超”がつくほどヘヴィデューティで、悪路走破に関しては突出して優れていることが大前提、だ。端からファミリーカーとして作られた多くのSUVとは違うのである。そして、もっとゴージャスに仕立てられたSUVも幾つか存在するが、こちらはかたや40年、かたやもうじき50年もの時間、この道を追求してきたようなもの。そこには伝統という名の強い説得力がある。

そういう意味では背中の後ろ側に共通したものを持つ2車ではあるのだけど、おもしろいことにライバル関係と見て比較検討されることというのが、あまりない。それぞれの最新版に──残念ながら悪路抜きで──乗ってみて、あらためて“なるほど”と思わされた。

01.MERCEDES-BENZ G550

12.3インチのモニターが横にふたつ並ぶ、Sクラスと同じ仕様のインパネ。全体的なサイズアップにより室内空間が広くなり、レッグルームで前席38mm/後席150mm、ショルダールームで前席38mm/後席27mm拡大している。

メルセデス・ベンツG550は、いまなお独特の世界観に満ちていた。昨年日本にも上陸したばかりの最新版は、ほとんどフルモデルチェンジといえるくらいの大変更を受けているにも関わらず、相も変わらず“ゲレンデ”と愛称されるクルマだけが持つ優越感をもたらしてくれるのだ。ガキンと硬質な音で閉まるドア。よじ登ったところにある質実剛健のSクラスみたいな室内空間。世界を見下ろす4トン・トラック並みの視界。4L V8ツインターボのドスの効いたビートと422㎰の生む力強い加速。その上この新型は、乗り心地もクルマの動きの身軽さも驚くほどによくなっている。そして何よりも惹かれるのは、その孤高というべき存在感。少し丸みを帯びたとはいえ、このシンプルに四角い姿は“G”以外の何者でもなく、それを強靱な鎧にして走ってることそのものが特別な時間であるような気分になってくる。男の子もしくは元男の子は誰もが強いモノに憧れるようなところがあって、そこをたっぷりと満たしてくれるのが“G”というクルマ。メルセデスはその気持ちをよく解っていて、だからこそきっちりと進化させながらも“Gであること”を微塵も変えなかったのだ。

 

リポート:嶋田智之/T.Shimada フォト:安井宏充/H.Yasui(Weekend.) ル・ボラン6月号より転載

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