カー・マガジン編集部員がこれは! と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。なんと機関好調な英国サルーン4台+1を一度に取材できたので今回はトップバッターの1台をご紹介。暑い夏の間は、クーラーの利いた涼しい室内で、100ドロカーを物色するのが正しい自動車趣味の過ごし方?
次回紹介予定ヴァンプラと合わせて2台をつがいで買うのもあり。そうなるとクルマに似合ったガレージも……。クルマにとどまらず、物欲が無限に広がってしまう実にキケンな100ドロ物件だ。
齢60年以上を数えるマグネットには手に触れ見るもの全てにMGらしさが宿る
100ドロでMGと言えば、Bやミジェットなどのオープンモデルが誌面を飾ることが多いが、今回はサルーンのマグネットを取り上げる。なかでも、1953年のロンドン・モーター・ショーでデビューしたZA以降のシリーズは、モノコックボディを採用した流麗なデザインで人気が高い。そのため良好な個体を探している方も多いだろう。
MG初のモノコックボディが採用され、先代のYシリーズと異なりフェンダーラインはボディ一体となり流麗なスタイルとなった。グリーンのペイントが美しく、緑に映える。
そんな英国サルーンの傑作をまずはトップバッターで紹介したい。価格はギリギリ100万円台と当コーナーでは高価格帯だが、写真からそのコンディションの良さが伝わるだろう。グリルの意匠が異なる兄弟車、ウーズレー4/44も同時にラインナップされていたが、マグネットZAはMGらしく当時としてはパワフルなBMC-Bタイプ・ユニットを搭載。直列4気筒の1489ccは2基のSUキャブを備え、最高出力は60HPを誇りトランスミッションは4速M/Tとなる。取材当日は梅雨の合間の晴れの日に行ったが、気温の高い中でも機関がぐずることはなく、またアイドリングも終始安定していた。
エンジンはBMCのBタイプ・ユニットで直列4気筒の1489cc。走りのMGらしく、2基のSUキャブを備え最高出力は60HPを誇る。セル一発始動でアイドリングも安定している。
撮影は那須高原で行ったが、新緑溢れる中を走るのは最高に気持ちが良い。グラスエリアは広く、窓を開ければ高原の空気をたっぷりと取り入れながらドライブを楽しむことができた。これは、そんな最高のシチュエーションを存分に堪能できるコンディションであったことも大きい。英国サルーンで100ドロデビューを飾るのは悪くない選択だ。
レザーとウッドがふんだんに使用されたインテリアは実に豪華。ダッシュ周りはMGらしい水平基調のデザインが好印象で、計器類のレンズにくもりはなく視認性も良好。レザー製のシートや内張りに破れはなく、シートサイズはフロント、リアともにたっぷりとしている。車内空間は広く、またグラスエリアも広いため居住性も良い。
1955 MG MAGNETT
1,950,000円
【編集長の傍からヒト言】
心揺さぶられたけれど読者ファースト:1953-1958年の間に製造されたMGマグネットの、こちらはサイドにモールを持たない初期のZA。正調MGサルーンの何たるかを、正しく後世に伝えるこの個体がこの破格値(?)。個人的にも、今回最もココロに突き刺さった1台ですが涙をのんで譲ります(泣)。
【問い合わせ】
ナカオワークス 080-5652-6600
Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:佐藤亮太/Ryota SATOU カー・マガジン483号(2018年9月号)より転載