VRでもARでもなく? ボルボがMR(複合現実)を車両開発に活用

H.Tanaka
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2019/06/02 13:00

フィンランドの高性能ARヘッドセットメーカー「バリヨ」が協力

ボルボ・カーズとフィンランドの高性能な拡張現実(AR)ヘッドセットメーカーである「バリヨ」は、試作車やデザイン、アクティブセーフティ・テクノロジーの評価をするために世界で初めて複合現実(MR)を活用すると発表した。

ボルボ・カーズ・テック・ファンドがバリヨへの投資を決定したことで、両社の関係はさらに強化される。このテック・ファンドは、有望な技術を持つ新興企業に投資する目的でボルボ・カーズが設立したベンチャーキャピタルファンド。ボルボ・カーズとバリヨは、MRヘッドセットを装着したまま実際の自動車を運転することを可能にし、特定の要素や機能全体がドライバーと自動車用センサーどちらからも実際にあるかのように見えるように追加できる。

5月30日に発表された「バリヨXR-1ヘッドセット」は、現在利用できるヘッドセットより優れた高解像度を実現。写真のようなリアルなMR、および仮想現実(VR)を提供することができる。これにより、XR-1は新しい装備やデザインをその場で評価できるようになり、開発期間が劇的に短縮できる。

XR-1ヘッドセットには、さらに従来より高解像度なカメラが追加されMRを実現している。これにより、ボルボ・カーズのデザイナーやエンジニアは未来のクルマを「運転」し、特定の機能が実装される何年も前からシミュレーション環境で確認することも可能になった。

XR-1を使用した場合、ボルボ・カーズのエンジニアはアクティブセーフティ対策を従来より容易に開発、評価できる。安全部門の専門家たちは、スウェーデンにあるボルボの研究施設内でXR-1ヘッドセットを装着したままクルマを運転。実際の環境下でARを通じ課せられた仮想アクティブセーフティシステムのテストを実施することが可能になる。さらにXR-1に内蔵される高精度アイトラッキング技術ではドライバーが新しい機能をどのように使用しているか、また何らかの原因により注意散漫になっているかを容易に確認できるので、ドライバーの注意力を阻害しない新機能の開発も可能になった。

「創業当初から、私たちはリアルとバーチャルをシームレスに融合させる製品を生み出すことを目指してきました。ボルボ・カーズによるXR-1を使った驚くほど先進的な方法は、これまで不可能だったことをバリヨの技術が可能にしたことを示しています。私たちはボルボと共に業務用拡張現実(MR)の新時代を切り開きます」

バリヨの創業者でCEOでもあるニコ・エイデン氏はこのようにコメントしている。

ザキ・ファシウディン氏(ボルボ・カーズ・テック・ファンドCEO)

一方、ボルボ・カーズ・テック・ファンドCEOのザキ・ファシウディン氏は以下のようにコメント。

「バリヨは、この分野を主導しています。そのテクノロジーは将来にさまざまな可能性を開くのみならず、現在のボルボ・カーズにも応用可能です。バリヨは、我々が投資しようとする企業の中でも模範的な一例といえます」

ヘンリック・グリーン氏(ボルボ・カーズ最高技術責任者)

ボルボ・カーズ最高技術責任者(CTO)のヘンリック・グリーン氏もこう続ける。

「この複合現実(MR)を利用することで、まだ設計段階のデザインや技術の評価を始めることができます。新しい製品やアイディアを評価する際、通常は静止した状態で行ないますが、この方法を利用すると路上ですぐにコンセプトを試すことができます。こうすればデザインおよび開発において早い段階で優先順位を特定し、ボトルネックを解消することができ潜在的コストの大幅な削減が可能になります」

なお、XR-1ヘッドセットとボルボ・カーズの応用技術はカリフォルニア州サンタクララで開催される「拡張現実世界博覧会(AR World Expo)」で5月30日に実演。この技術を適用するにあたり、特許を取得している。

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