Mモデルのようなドリフトコントロールさえ楽しめる
サスペンションも、Mパフォーマンス専用の設定となる。コーナー進入時は、ステアリング操作に対して切り始めた瞬間から正確に向きを変える。同時にロールがジワーッという感じで進行し、イン側をそのままにアウト側だけ沈み込むので4輪がシッカリと路面をつかむ様子が伝わってくる。
こうした実感は、前後の駆動力配分を連続可変制御するフルタイム4WDのxDriveの効果ともいえる。ステアリングを切り込む際にはフロントにはほとんど駆動力を配分しないので、タイヤが発揮するコーナリングパワーを最大限に引き出せるのだ。
センターコンソールの専用プレートやシフトパドル付き本革巻スポーツステアリングを備えたインテリアはM Sport仕様が標準。
さらに、コーナリングからコーナー脱出時にかけては、リアに標準装備されるMスポーツ・ディファレンシャルの出番となる。左右輪の回転差を吸収するディファレンシャル機能を電子制御し最適な駆動力を路面に伝える。それだけに、リアがフロントを押し出すようなアンダーステア傾向を示すことがない。今回の試乗では機会がなかったが、X4のM40iでウェットの定常円旋回を試した場面では、横滑り防止装置のDSCを解除するとMモデルのようなドリフトコントロールさえ楽しめた。
試乗車には特別装備エクステンドレザーメリノ製シートとウッドトリムが奢られる。
まさにMパフォーマンスならではの走りが確かめられ、それでいてX3の特長となる上質感が損なわれていない。サスペンションが引き締まっていても余計なフリクションがなくストロークが滑らかなので、振動を巧みに抑え込んでしまう。「ドスッ」という打音が聞こえるような路面の大きな段差を通過しても振動が残らないため、ボディによる抑制も効いた乗り心地として好印象に結びつく。
フロントマスクのマットアルミ調グリルバーやグレーメタリックの加飾パーツはM40dの専用アイテム。
フロントマスクのマットアルミ調グリルバーやグレーメタリックの加飾パーツ、ブラッククローム仕立ての左右エンドパイプはM40dの専用アイテム。タイヤは前45/40、後275/35扁平21インチのランフラットを履く。
ボディによる抑制は、ザラついた路面で聞こえるゴーッという感じのロードノイズのボリュームを最小限にする。音源も遠いように感じるので響くこともなく、優れた静粛性が保たれる。そう、上質感はスタンダードモデルのまま、走行性能はMモデルという位置づけが証明されたことになる。