ルノー【パリ・サロン2018】EV化と自動運転でルノーが描く未来

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まずはSUVとホットハッチ!

地元フランスのPSAグループが極めて具体的に短期タームでのプロダクトを見せたのに対し、ルノーは市販ラインナップという点では、カジャーのフェイスリフトに留まった。フロントのバンパー周りが一新され、ウレタンよりボディ同色部分を増やしたり、フォグランプ周りのクロームをシャープに見せることで、より都会的に生まれ変わった。

KADJAR(カジャー)

フェイスリフトで都会的に

フェイスリフトの力点がフロントマスクの下半分に集中したルノー・カジャー。フォグランプ周りがボディと同色となり、スクエアなクロームで囲われ、「アウトドア<都会」の雰囲気に。ガソリンエンジンは新たに1.3リッターTCeの140psもしくは160psが追加となる。

MEGANE R.S. TROPHY 300(メガーヌRSトロフィー300)

ついに現れたニュル攻略マシンか

シャシー・スポールのオランジュ・トニックに代わり、ジョヌ・シリウスをまとったトロフィー仕様。フロントスポイラーのロゴと1本あたり2kg軽量化され、スポークに部分的に赤をあしらった19インチホイールを標準装備する。オプションのレカロシートでは着座位置が20mm下がる。1.8リッター直噴ターボは燃調プログラムの変更で出力は300psだが、EDC6速は420Nm、6速MTは400Nmとなる。いずれの仕様でニュル北コースのタイムアタックにいつ臨むのか、シビック・タイプRの7分43秒80を破れるかどうかが今後、注目されるだろう。

だが注目を集めたのは、EV化と自動&無人運転が実現したら、クルマはどう変わることができるか? という可能性を極限まで追求した、巨大なEVデザインスタディだった。

EZ-ULTIMO(EZ-ウルティーモ)

フレンチ流EV高級リムジン

まず「EZ-ウルティーモ」はラウンジ空間をそのまま移動させるかのような、自動運転による高級リムジンのコンセプト。従来的なリムジンにありがちな、重厚な調度品に囲われたキラキラ感というより、洒脱なカフェバーのように落ち着いた内装は、きわめてフランス的な高級感といえる。

 

EZ-PRO(EZ-プロ)

さすがのルノーは商用車の未来も

一方で高級車だけでなく、商用車もEV化と自動運転によって著しく変わる。自動的に定められた場所に自走して行ける機能を前提とし、マルシェのような定期市に現れるようなフードトラックや配達バン、あるいは数台を連結して貨物バンとして物流に利用されるなど、「EZ-プロ」は様々な可能性を示すコンセプトだ。人を乗せて運ぶだけではなく、道具や荷物をも、無人で移動ネットワークにのせて送ったり受け取ったりできるという世界を予感させる。

 

EZ-GO(EZ-ゴー)

ファミリーカーはユニバーサル設計

もう1台は乗用車コンセプトである「EZ-ゴー」。巨大なリアハッチゲートから乗り込むと、自動運転化されたファミリーカーはもはや1~3列目といったシート配置ではなく、コーナーソファのようにラウンド配置されたベンチ状のシートで乗員を迎える。乗降口にはスロープが路面との間に架けられるので、年配や車椅子の人にも優しいユニバーサル設計なのだ。

すべては自動化と無人運転が前提のEVコンセプトではあるが、これから求められる価値観を反映していることは確かだ。

フォト:望月浩彦 H.Mochizuki

この記事を書いた人

南陽一浩

1971年生まれ、静岡県出身、慶應義塾大学卒。ネコ・パブリッシング勤務を経てフリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・男性ファッション・旅行等の分野において、おもに日仏の男性誌や専門誌へ寄稿し、企業や美術館のリサーチやコーディネイト通訳も手がける。2014年に帰国して活動の場を東京に移し、雑誌全般とウェブ媒体に試乗記やコラム、紀行文等を寄稿中。2020年よりAJAJの新米会員。

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南陽一浩
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2018/11/12 10:00

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