「静粛性は5サルーン超え」萩原秀輝のBMW【新型X5】国際試乗会リポート

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いよいよG世代に突入

2018年6月、次期型X5誕生の一報を得たとき、BMWは「ビッグマイナーチェンジで延命を図るつもりなのか?」という疑問を持った。なぜかといえば、3代目にあたる現行型(F15)は発売から5年しか経過していないからだ。ところが、次期型は正真正銘のフルモデルチェンジを果たして投入される。そのあたりをBMW のスポークスマンに取材したところ、「優れた技術をいち早くカスタマーに提供するため」とのことだった。

その優れた技術とは、現行モデルの7シリーズから5シリーズを経て次のX5(G05)に展開される新世代アーキテクチャー、「CLAR」プラットフォームのこと。特に、G世代5シリーズのボディ基本骨格やシャシーがもたらす上質な走りは、プレミアム系アッパーミドルクラスの中でも突出しているといえる。その実力を磨きつつ鍛え上げてくるはずなので、自ずとX5の走りに対する期待が高まるというもの。ちなみに、ボディサイズは現行型と比べひと回り拡大し、ホイールベースは42mm長くなっているようだ。

実際に、アメリカのジョージア州で行われた国際試乗会で確かめた新型X5の走りは期待を超えていた。やはり、ボディの進化は明らかであり、荒れた路面を通過する際に衝撃や騒音として感じる振動の遮断は見事という他にない。補修が済んでいないような路面の大きな入力に対しても、スムーズに動くサスペンションが衝撃を吸収し、振動を残してボディが「ドスッ」や「ミシッ」といった打音を発することがない。路面のザラつきをタイヤが拾っても、「ゴーッ」というロードノイズの音量を抑えているだけでなく、遠くから聞こえるように感じさせる。この静粛性は現行の5シリーズを超えたといえるだろう。

もちろんボディだけではなく、サスペンションにも注目だ。新型X5はダンパーの減衰力を連続可変制御するシステムを標準装備している。その効果により、快適な乗り心地が実現できるだけではなくボディサイズを意識させない軽快な操縦性も楽しめた。さらに、試乗車はBMWのXモデルでは初となる車高のリフトアップ機能も備えたエアサスペンションを装備。走行モードをオフロードのロックにすると車高が40mm上がり、深いわだちや大きな石がゴロつく極悪路でもかつてない走破性を示した。もちろん、前後輪の駆動力配分を連続可変制御するフルタイム4WD 技術「xDrive」の威力も見逃せない。

試乗車となったX5「xDrive30d」が搭載する3リッター直6ディーゼルターボエンジンは、低回転域からブ厚いトルクを発揮する。ただ、一定の速度で低いエンジン回転数が保たれている場面でも、「ブォーッ」という野太い排気音は耳に届く。ボリュームが最小限に抑えられ不快感こそないものの、他の騒音が圧倒的に静かなだけに唯一気になるところといえるだろう。その一方で、アクセルを踏み込むとディーゼルであることを忘れさせる「グォーン」という迫力あるエンジン音を発し中回転域のパワフルさが強調される。

なお、この次期型X5は2019年早々に日本市場に上陸予定だ。ラインナップは「xDrive30d」の他に、ガソリンエンジンを積む「xDrive40i(3リッター直6ターボ)」と「xDrive50i(4.4リッターV8ツインターボ)」も順次導入されるそうだ。

【BMW X5 xDrive40i】 

全長4,922×全幅2,004×全高1,745mm/ホイールベース:2,975mm/直列6 気筒ガソリン・エンジン/8 速ステップトロニック・トランスミッション/排気量:2,998 cc/最高出力:250 kW[340 ps]/5,500~6,500 rpm/最大トルク:450 Nm/1,500~5,200 rpm/加速性能[0-100 km/h]:5.5 秒/最高速度:243 km/h/複合モード燃費:8.8~8.5 L/100 km/複合モードCO2 排出量:200~193 g/km、排出ガス規制:EU6d-TEMP

【BMW X5 xDrive30d】 
全長4,922×全幅2,004×全高1,745mm/ホイールベース:2,975mm/直列6 気筒ディーゼル・エンジン/8 速ステップトロニック・トランスミッション/排気量:2,993 cc/最高出力:195 kW[265 ps]/4,000 rpm/最大トルク:620 Nm/2,000~2,500 rpm/加速性能[0-100 km/h]:6.5 秒/最高速度:230 km/h/複合モード燃費*:6.8~6.0L/100 km/
複合モードCO2 排出量*:179~158 g/km、排出ガス規制:EU6d-TEMP

リポート:萩原秀輝 H.Hagihara フォト:BMWジャパン

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