ベントレーの聖地からロンドンまでをベンテイガV8で巡る、伝統と革新の見事なまでの融合。

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来年創立100周年というメモリアルイヤーを迎えるベントレー。今回その本拠地となるイギリス・クルーの工場と博物館を訪れ、ベンテイガV8でロンドンまでドライブする機会に恵まれた。近年、魅力的な投入し販売を拡大している彼らの、伝統と革新に迫る。

近代的な設備の傍らに職人による手作業が共存

クラシカルなレンガ造りの建物が並ぶベントレーのイギリス・クルー工場。しかしその内部は外観からは想像できないほど、最新の設備が盛り込まれた、近代的な光景が広がっていた。

敷地面積約26平方メートル、5500人の従業員が働くクルー工場。その組み立てラインは最新の設備が投入され、驚くほどクリーンな環境で作業が行なわれている。頑なに高品質にこだわる彼らの気質がよく表れているようだ。

敷地面積約26平方メートル、正社員と契約社員を合わせると約5500人もの従業員が働いているクルー工場では、ベントレーのすべてのモデルのアッセンブリーが行なわれている。一見すると他のメーカーの工場と変わりないように見えるが、大きく異なるのはラインがあっても一定の速度で流れていない点だ。つまり作業員が自分のペースで組み付けを行ない、次の工程へと送っているのである。

これについて、案内をしてくれたジョナサン・オ・ディスコール氏はこう語る。
「我々はスピードよりクオリティを最優先しており、600カ所におよぶ品質テストを行なっています。それがベントレーなのです」

インテリアに使用されているレザーは、スカンジナビアの専用牧場で飼育された牛の革を、イタリアでなめし加工されたもの。

裁断はキズ等をカメラで自動判別し、効率よくカットする機械を用いるが、縫製は職人がミシンまたは手縫いで行なう凝りようだ。

 ベントレーといえば、ウッドパネルやレザートリムがあまりにも有名だが、それらは注文を受けてからパーツの完成まで約5日間もかかるという。これは、多くの工程が職人の手作業によって丁寧に作り上げられるからだ。

ウォールナットをはじめ、多種多様な種類のウッドパネルは、カリフォルニアやスペインを筆頭に世界中の森林から調達している。

貼りつけるベニヤの厚さは0.6mmで、新型コンチネンタルGTではこれを0.2mmまで薄くする予定とのこと。

成型はレーザーカットマシンにより行なわれるが、最終工程の仕上げ作業は職人がひとつひとつ丁寧に研磨していく。

こうして1台1台、心を込めて出来上がるベントレーのモデルたち。ステアリングを握ったときに指に掛かるステッチや、シートのダイヤモンド・イン・ダイヤモンド・キルトの刺繍を見るたびに、彼らが丹精込めて作り上げたそのぬくもりが伝わってくることだろう。

各パーツの中でも特に手がかかっているのがステアリング。外側部分の多くはレザーを丁寧に接着するが、内側のステッチは職人が見事な手さばきで縫い上げていく。

完成するまで1本当たりに3.5 ~4時間かかるという。

 

フォト:ベントレーモーターズジャパン/ル・ボラン2018年10月号より転載

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