自動運転で実現するカーライフの可能性を提示
ボルボ・カーズは9月6日、近未来の完全自動運転を見据えた新しいコンセプトモデル「ボルボ360c」を発表した。
このコンセプトカーは、将来の自動化や電動化、コネクテッド、安全性に関するボルボのビジョンの一環として開発されたもの。クルマでの移動を非生産的で退屈な移動時間と捉えている人々に対し、それを有意義で楽しい時間に変えることによって人々の生活基準を変化させる可能性を示している。
360cは、人間が運転しない完全自動運転の電気自動車がベース。これにより、移動中の時間をどのように活用できるかが検討され、「睡眠できる環境」、「動くオフィス」、「リビングルーム」、「エンタテインメントスペース」の4つの使い方を提示。飛行機やバス、列車といった他の移動手段に優る魅力と可能性があり、快適性や利便性、プライバシーといった面で優位性がある。
ボルボ・カーズの企業戦略担当上級副社長、マーテン・レーヴェンスタムは次のようにコメントしている。
「360cは、運転手を不要にした場合の設計の自由度と、時間の有効活用によって可能になることを探究しています。これにより自動運転技術が世界をどう変えるのかを知ることができます。その可能性は無限大です。これはほんの一例にすぎませんが、非生産的な移動時間の負担を取り除くと人々は都市部への距離をさほど気にしなくなります。360cは移動するオフィスでもあるので、人々が混雑した都市から遠く離れた場所で生活し、より快適で、より効果的な方法で時間を使うようになるでしょう」
ボルボはこの360cで、今までの自動車メーカーの枠を超えたビジネスモデルの拡大の機会を模索しており、さまざまな業界から強い関心が集まることを期待している。一方で、航空会社、航空機メーカーやその他のサービスプロバイダーからなる数十億ドル規模の航空業界に対し、有利な競合相手となる可能性がある。
360cの「睡眠できる環境」は、空港でのセキュリティチェック、待ち行列、騒がしさ、旅客機の窮屈さといった不便がなく、ドア・ツー・ドアでファーストクラス並みのプライベート空間による移動を実現できると、ボルボはこのコンセプトモデルのメリットを主張している。
コンセプトカーの具体的なスペックや仕様、デザインについての説明は現時点で発表されていないが、公表された画像などからは、大人4名が乗車できるモノスペースのキャビンを備えた都市型コンパクトモデルであることが想像できる。広大なウインドーにはコネクテッド機能を備えたインフォテインメントシステムの情報が表示できることが見て取れる。シートは航空機のファーストクラスのようにフラット化でき、快適に睡眠できる環境が整う。内外装のデザインは、今後のボルボの方向性が示されていると捉えるのが妥当だろう。