都市型超小型車というカテゴリーを切り拓いた
ダイムラーはこのほど、スマートが誕生から20周年を迎えたことを発表した。
初代スマートは、都市型超小型車の新しい形として、1997年のフランクフルトショーで初公開された。その後、1998年の7月に生産を開始。ふたり乗りとなるスマート・フォーツーの、ドイツを含む欧州8カ国での販売が始まった。
フォーツー・クーペからスタートしたボディのバリエーションは、オープンモデルの「カブリオ」や、全長を拡大して4人乗りにした「フォーフォー」と3タイプに広げられた。
駆動方式は、初代フォーフォーを除きエンジンをリアアクスル上部に配置して後輪を駆動するRR。小さいボディ、短いホイールベース、そして細めのタイヤによって、非常に高い小まわり性を発揮するのがRRスマートにおける最大の特徴だ。
ふたり乗りのスポーツモデル「ロードスター」や、ルーフやフロントウインドーフレームなどを取り去った「クロスブレード」といったモデルも登場した。ちなみに日本では、ボディ全幅の寸法を軽自動車規格に合わせ、軽自動車として発売された日本専用モデル「スマートK」が登場したことも思い出せる。
さらに、ドイツのチューニングブランドが手がけた「ブラバス」仕様も登場。日本でも限定発売されてすぐに完売するなど、大きな話題を呼んだ。ブラバス仕様は現行モデルでも展開されていることから、その人気の高さが本物であることがわかる。
一方、この20年でパワートレインも変化してきた。3気筒ガソリンエンジンでスタートしたパワーユニットは、燃費とパフォーマンスの両立を追求し、追ってターボエンジンをラインナップ。のちに電気駆動技術を用いた「ED(エレクトリック・ドライブ)」が登場し、環境への配慮とともに、多様化するユーザーのニーズに応えてきたわけだ。
誕生から20年を経た現在、世界46カ国でのべ220万台が販売されてきたスマートの新世代版が、2018年3月のジュネーブショーで初公開された「スマートEQ」だ。ダイムラーが推進するEV戦略の一環として誕生した「EQ」シリーズは、メルセデス・ベンツだけでなく、このスマートにも適用される。
スマートEQにもフォーツー(クーペ&カブリオ)とフォーフォーがラインナップされ、60kW/160Nmを発揮するモーターを搭載。「スマートEQコントール」アプリを使うと、スマートフォンやタブレット端末などから空調や充電などの各種機能を遠隔操作することができる。このスマートEQはこれから日本にも上陸する予定だ。
スマートは2020年から全モデルを電動化すると宣言していることから、ガソリンエンジンの導入を終了していく。将来スマートはEV専用のスモールカーブランドに変わる見通しだ。