インフィニティQX50から採用

日産は新日鐵住金と共同開発した世界初となる「高成形性980MPa級超ハイテン材」（冷間プレス用超高張力鋼板）を採用拡大すると発表した。

高成形性980MPa超ハイテン材は第2世代ハイテン材で、自動車用鋼板として多く使用されている従来の590MPaハイテン材に近いプレス成形性や衝突時のエネルギー吸収性能を持ちながら、引っ張り強度980MPa以上の高い強度を両立したもの。そのため、従来プレス成形が困難だった複雑形状部品や、衝突時に乗員を保護するためにエネルギー吸収の役割を担う部品への適用ができるようになり、超ハイテン材の採用部品を拡大することで、車体のさらなる軽量化が可能となる。

この高成形性980MPa超ハイテン材は、2018年3月に米国で発売したインフィニティQX50のフロントサイトメンバーやリアサイドメンバーなどの車体骨格部材として世界で初めて適用し、今後発売する新型車に採用を拡大していくとのこと。

日産では、車体の軽量化のために、車体部品における超ハイテン材を25％（重量ベース）以上に採用する目標を掲げ、2013年から高成形性1.2GPa級超ハイテン材の採用をはじめ、超ハイテン材適用技術の開発に向けて積極的な取り組みをしてきた。インフィニティQX50では、超ハイテン材適用率 27％を達成しているという。

超ハイテン材は、通常のハイテン材と同等の車体性能を保ちながら鋼板を薄くできるため、車両の軽量化が可能となり燃費や走行性能を向上させることができる。また、1台あたりの鋼板の使用重量が少なくなることに加えて冷間プレスが可能なため量産に適しており、生産コストを含めた車両トータルでコスト上昇を抑えられるというメリットがある。