6月1日公開の映画【OVER DRIVE】旬の俳優陣と本物のラリーカーが躍動する「挑戦」の物語

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映画「OVER DRIVE」
羽住英一郎監督インタビュー

 

国内映画でモータースポーツ作品は珍しいと思いますが、羽住監督がラリーを題材に選んだきっかけは?

「若者のクルマ離れと言われる時代の中、トヨタがWRC(FIA世界ラリー選手権)に挑戦していますが、確かにラリーって一般には馴染みが薄いと思います。ただ、サーキットのレースと違って、ラリーは私たちが通る一般公道を使うから映像的にも迫力があるなと。自動車メーカーがモータースポーツに参入する目的のひとつに、最終的には市販車へのフィードバックがあると思います。そういう意味でもフォーミュラよりも市販車に近いマシンが日常にある景色の中で闘うラリーの方が伝わりやすいと思いました。しかも、この作品ではメカニックをフィーチャーしています。もちろん華やかなドライバーの世界も描いていますけど、むしろメカニック視点の“モノづくり”だったり“挑戦”というテーマが日本人の琴線に触れるなぁと思ったのです」

首都高をラリーカーが疾走するシーンが衝撃的でしたが、この架空のシリーズ戦はどういった着想ですか?

「僕自身がすごくモータースポーツが好きなので、とにかく日本でラリーが盛り上がっていて、ラリーマシンが疾走するシーンをスクリーンで観てみたいロケーションや、国内シリーズという設定だけどイベントの規模感や競技中継の演出などはWRCに寄せてみたいという願望を含んでいます。国内トップカテゴリーとして、実在する“全日本”を名乗るわけにはいかないので、SEIKOさんにメインスポンサーとして名前を使わせていただきました。ラリーマシンも南アフリカ国内選手権を2連覇したトヨタ・ヤリスを輸入したり、モータースポーツに欠かせないスポンサーも色々な企業に協力をいただいて全部リアルにするという点にはかなりこだわりました。劇中のスポンサーにウソがあるとガッカリしますよね、似ているけどひと文字違うとか(笑)」

ラリーという難しいテーマをエンターテインメイントに仕立てた手法は?

「映画としてはまったくモータースポーツに興味がない方にも楽しんでいただきたいと思って作りました。だからラリー競技を分かりやすく噛み砕いて説明するよりも、プロフェッショナルの世界をよりリアルに描く方が新鮮に楽しんでいただけるだろうというアプローチです。だからこそ、森川 葵さんが演じるモータースポーツを知らない役柄の視点が重要なのです。もちろんモータースポーツ好きの人たちもガッカリさせません。なにより僕自身がモータースポーツファンですから。自分が観たい世界が描けたという自信はあります」

俳優陣の演技も秀逸でした。なにか特別な演出はありましたか?

「主人公の檜山篤洋を演じた東出くんも含めて、メカニック役のキャスト全員には、クランクインの1カ月前からヤリスをバラして組み立ててというトレーニングに参加してもらいました。東出くんは完璧主義で“自分は不器用だから”と言いますが、工具の名前や使い途からパーツの役割に至るまで、全部理解してからセリフを覚えるとか、それこそ専門用語の応酬なのに彼はすべて自分の血と骨にして表現してくれたので、“本物”になりましたね。一方、弟・直純役の新田真剣佑にはWRCドライバーの写真を見せて、細マッチョな身体に仕上げてもらいました。2カ月で見事に鍛え上げましたね。しかもマスクで顔の隠れたコクピットでの“目”の演技とか表彰台での立ち姿とか、日本人離れした理想的なドライバーの雰囲気を出してくれましたね。これは彼らが持つチカラだなあと感じました」

 

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