2018年2月17日(土)、18日(日)の2日間、神奈川県のパシフィコ横浜で日本最大級のクラシックモーターショー「Nostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)」が開催された。
国産クラシックカーを中心とした旧車ショップ、パーツメーカーが集結する同イベントは、今年で10回目となる。今回は会場規模を1.7倍に拡大し、出展ショップや展示車両が例年以上に増えている。
注目は、10周年特別企画として会場に設けられた「ジャパンプレミアムゾーン」だ。国産車9台限定の特別展示で、最新の高度なレストア技術で新車同様のコンディションに復元された車両や、現存台数が極めて少ない希少性の高い車両が展示・販売されるというもの。
取材中、思わず見入ってしまったのは「トヨタ2000GT」(1968年式)。2000GTは、1967年から1970年まで生産されたが、総生産台数はわずか337台という“幻の名車”。展示車両は、外装を総剥離して錆を完全に取り除き、七宝焼エンブレムやフェンダーミラーなど、各部新品パーツに交換された新車のような状態。そのお値段は、なんと1億3000万円!(車両:ビンテージカー ヨシノ)
販売価格に圧倒されつつ、“幻の名車”をまじまじと眺めていると、現代の車に見慣れた筆者の目では、2000GTが思ったよりも小さいことに気付いた。全長4175×全幅1600×全高1160mmという2000GTのボディサイズは、現行のプリウスはもちろん、86(4240×1775×1285mm)よりも小さい。だが、ロングノーズショートデッキ、そして、ノーズからテールにかけての美しい流線型のデザインは、古き良きスポーツカーが理想としていた抜群のプロポーション。
フロントマスクで特徴的なのは、リトラクタブルヘッドライト(格納式のヘッドライト)と大型のフォグランプ。国産車のリトラクタブルヘッドライトはこの2000GTが初めて採用した。
エンジンは、当時のクラウンなどに搭載されたM型エンジンをベースにヤマハ製のヘッドを組み合わせた2リッター直列6気筒DOHC(150ps)を搭載。4輪ディスクブレーキやマグネシウムホイール、ラック&ピニオン式ステアリングなど当時最先端の装備や機構が備わっていた。最高速度は220km/hで当時の世界トップレベル。
通称「ケンメリ」と呼ばれた「4代目スカイラインGT-R」。ケンメリGT-Rの生産台数は197台といわれ、歴代のスカイラインGT-Rの中でも最も希少な存在。中でも、この純正赤色のGT-R(1973年式)は、日産の資料に生産台数7台と記されているという超希少車。展示車両は走行距離1万5100キロのフルノーマルで、欠品パーツもないという極上車。お値段は9800万円(車両:ロッキーオート)。
ケンメリGT-Rは、レースで太いタイヤを装着するために備えられた前後の黒いオーバーフェンダーが外観の大きな特徴で、そのほかメッシュタイプのフロントグリルやエンブレムにバッジ、リヤスポイラーなどがベースグレードから追加されている。エンジンは、ベースグレードにL20型の2リッター直列6気筒OHCエンジンが搭載されていたのに対し、当時の日産(プリンス)のレーシングカー、R380のエンジンをベースに開発されたS20型の2リッター直列6気筒DOHC(160ps)が搭載されていた。
こちらは「初代フェアレディZ」。S30という車両型式から、ファンの間では「S30(エスサンマル)」や「30Z(サンマルゼット)」などと呼ばれ、漫画「湾岸ミッドナイト」に登場した“悪魔のZ”としてもおなじみ。スカイラインと共にモデルチェンジしながら(フェアレディZは2000年に一時絶版となり、2002年に復活)今も生産が続く日本が誇るスポーツカーの代表格。
鮮やかなオレンジのボディに黒いボンネットのS30(1972年式)は、先ほど紹介したケンメリGT-Rと同じS20型エンジンを搭載する「432」のレーシングモデル(競技ベース車両)「432R」。軽量化を図るために、FRP製のボンネットやアクリルウインドウなどが純正で採用されていた。展示車両にはその特徴でもあるアクリルウインドウに細かな傷がついていたが、これはオリジナル状態で保管されていたという証でもある。お値段は8640万円(車両:オートショップ タキーズ)。
ここで紹介した販売価格上位3台のほか、ジャパンプレミアムブースには、3台の「スカイラインGT-R」と「スカイラインGTS-R」「レパードアルティマ」「いすゞ117クーペ」が展示されていた。それぞれの販売価格を計算すると4億4000万円…。ブース中央には商談スペースも設けられており、直接販売ショップと商談が可能な仕組みになっていた。
当時を懐かしみ思い出に浸る人。写真でしか見た事の無かった憧れの名車と出合い感激する人。その金額に驚く人…など、幅広い年齢層のファンで賑わっていた「Nostalgic 2days」。日常ではめったにお目に掛かれない名車たちが一堂に会するこのようなイベントは貴重なチャンスといえるだろう。