ティグアンやC3が需要を喚起。Cクラスもベスト20に
英国に本拠を置く国際的なリサーチ会社であるJATOが、ヨーロッパ27カ国における’17年上半期(1〜6月)の乗用車セールスランキングをまとめた。その傾向を見ていくとしよう。
車名別ではやはりフォルクスワーゲン(VW)ゴルフが強く、前年同期比では11.6%減と1割以上減らしたものの、唯一の20万台超えでトップを維持。昨年、フェイスリフトされたルノー・クリオ(日本名ルーテシア)や、VWポロが追い上げているが台数差は大きく、日本のように首位を譲ることはなさそうだ。ポロのフルモデルチェンジ版の欧州発売は6月なので、この台数には反映されていないと思われるが、今年後半(下半期)はどこまで伸びてくるのか注目したいところだ。
首位のゴルフだが、日本でマイナーチェンジ版が発売されたばかりで、欧州でもまだ新型車効果は続いているはずなのに1割減はちょっと気になるところ。また、日本ではゴルフを抜いて首位となっているミニだが、欧州ではなんと34位(7万2904台)。25位のアウディA3、32位のメルセデス・ベンツAクラスよりも少なく、このあたりに日本の輸入車マーケットとの違いが見てとれる。
欧州で根強い人気を誇る日産のコンパクトSUV、キャシュカイ(日本未発売)は昨年上半期の8位から5位へとランクアップし、ベスト20圏外だったVWティグアンは7割以上の上乗せで9位にランクイン。16位と下位ながら1割近く伸びているプジョー2008も含め、扱いやすいサイズのSUVは欧州でも着実に伸びているようだ。
コンパクトSUV市場で、安定した売り上げと人気で売り伸ばしに成功したティグアン。フォルクスワーゲン巻き返しの狼煙となりそうだ。
ところで台数では多数を占めるBセグメントで伸びているのはポロだけではない。フルモデルチェンジを受けたシトロエンC3は6割以上伸びて12位に顔を出し、ルーマニアのダチア・サンデロも大きく伸びている。上半期では上位常連のフォード・フィエスタやオペル/ボクソール・コルサ、プジョー208ほどの台数は売れていないが、下半期にC3は上位へ上がってくる可能性が高い。 そして興味深いのが1割以上の伸びで19位に入ってきたメルセデス・ベンツCクラスだ。台数ではBセグメントおよびCセグメントが主流の欧州だけに、Dセグメントのプレミアムセダンがベスト20に入ってくるのは珍しく、この上半期も50位以内に入っているのはCクラスに加えて30位のアウディA4、35位のBMW3シリーズ、38位のEクラスのみ。Cクラスのマイナーチェンジは今年末とされているが、その直前の好調の波にディーゼル関連のサービスキャンペーンが水を差すことになるのか。そのあたりも下半期に明らかになるはずだ。 ちなみにベスト20には入らなかったが、新たにベスト50に入ってきた新型車としてプジョー3008(26位)とトヨタC-HR(42位)がある。3008は8万2448台ともう少しでベスト20というところまできており、C-HRは6万1554台とまだ少ないが、ともに人気上昇中のSUVということで上位に上がってくる可能性は高い。C-HRが日本ブランド最上位のキャシュカイに迫るのかどうかも楽しみだ。
乗用車トータルでは前年同期比4.3%増と増加傾向を保つ欧州マーケット。年間1600万台以上が販売されるビッグマーケットは下半期も増加傾向を維持するのか。各モデルの健闘に期待したい。