オートクチュールこそ高級の証、ロールス・ロイスが1台限りの特注モデルを製作

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ロールス・ロイスは、5月26日〜28日にイタリア・コモ湖畔で開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにおいて、ワンオフモデルの「Sweptail(スウェプテイル)」を発表した。

 

コーチビルディングの頂点を証明

 

このワンオフモデルはあるカスタマーがオーダーしたもので、彼は自分の望む理想の二人乗りロールス・ロイスを依頼。1920年代のいくつかのロールス・ロイスの「swept-tail(スウェプト・テイル)」モデルを愛するこのクライアントの要望に、ロールス・ロイス社が応えたのである。

 

Rolls-Royce Torpedo Photo: James Lipman / jameslipman.com

 

発表の場で、ロールス・ロイス・モーター・カーズのCEO、トルステン・ミュラー・エドヴェシュは、次のようにコメントしている。

 

「スウェプテイルは旅先のロマンスを華やかに演出し、世界屈指のインターコンチネンタル・ツアラーに数えるに足る存在であることを示している素晴らしいクルマです。世界をリードするコーチビルダーとしてのロールス・ロイスの歴史は、高級ブランドのアイデンティティの中核をなしています。(約1年前に発表したヴィジョンモデルの)「103EX」の登場は、この分野においてロールス・ロイスの未来の光明です。そしてスウェプトテイルは、今日、ロールス・ロイスがコーチビルディングの頂点に君臨していることを証明しています。私たちは、このユニークなサービスを、他の見識あるお客様に提供することを検討しています」。

 

エクステリアでは、ロールス・ロイスの象徴であるパンテオン・グリルの新しい造形を中心に、フロント・プロファイルに表現された、自信に満ちた堅実な風貌が目を引く。現代のロールス・ ロイスの中で最も大きなこのグリルは、アルミニウム・ブロックから削り出された後、手作業で鏡面加工が施されている。フロントマスクは、その周囲をブラッシュド・アルミニウムで飾られている。側面に回ると、そのユニークなキャラクターが印象的なシルエットに由来していることがわかる。アップライトでフォーマルなフロントフェイスから流れる「スウェプテイル」のラインは、しなやかでエレガントなフォルムへと移り変わる。この堂々としたクーペは、そのスケール感と気高さを明確に表現。フロントガラス先端に続くルーフラインはリアエンドへ向かうにつれてスピード感を増しながら、ボディの長さを強調するようにトランクリッドの端を乗り越えていく。

 

リアエンドを締めくくるグラマラスなクー・デ・グラース(coup de gras)は、傾斜のあるヨットの船尾のようでもあり、まさにクライアントに閃きをもたらしたレーシングヨットの世界への究極のオマージュとなっている。真後ろから見ると、絞り込まれたような後部のテーパーはフロントエンドと強い対照をなし、ドラマチックなロールス・ロイス・クーペの全く新しいイメージを形作っている。このワンオフモデルの整然としたリアエンドには、認識票であり登録番号も兼ねるバッジとして、アルミニウム・インゴットから削り出され、手作業で磨かれた「08」のふたつの数字が配されている。

 

惜しみなく奢られたポリッシュド・マカサー・エボニーとオープン・ポア仕上げのパルダオがインテリアを飾り、見た目でも、また触感としても、クラシックとコンテンポラリーというコントラストを創り出す。このコントラストは、シート、アームレスト、ダッシュボード上部を飾るレザーのライト・モカシンとダーク・スパイスのコントラストによって引立てられている。一方で、1920 年代から30 年代にかけてロールス・ロイスが確立したトランスコンチネンタルGT の精神に忠実に従い、後部座席の代わりに照明付きガラス・リップがあしらわれた木製棚板が仕込まれている。

 

また、「バックライト」というリアウインドからもアクセスできるラゲッジ・レール付きのハット・シェルフ(帽子置き場)はそれ自体が美しく磨き上げられたもの。乗員の頭上にはパサレル(Passarelle)と名付けられた装備があり、ウインドスクリーン後端からインテリアを包み込むようにハット・シェルフまで流れて、ティアドロップ・フォルムを形成している。

 

これまでで最も清楚なロールス・ロイスのダッシュボードには、ミニマリストの倫理によりただひとつの操作部が配置されており、それだけでなく他のすべてのスイッチ類も、また継ぎ目なく溶け込む時計さえもが慎重に場所を選んで配置される。世界初のこのロールス・ロイス専用クロックはハンドメイドによる極めて薄いマカサー単板の文字盤を持ち、精密加工されたチタン製ノブと共にフェイシアに違和感なく埋め込まれている。また、手作業で組み立てられた三つの計器盤もチタン製だ。

 

そして、ふたつの驚きと歓喜の機能がこのスウェプテイルの中に仕込まれている。外側からコーチ・ドアを手前に開けると、ボディの左右開口部の側面には、ボタンを押すだけで展開する手作りのアタッシュケースが入った特徴的なパニエがふたつ隠されている。このアタッシュケースは、ロールス・ロイスのビスポークがスウェプトテイル専用に開発したラゲッジセットと対になっているものだ。

 

センターコンソール全体にわたり、クライアントのお気に入りのビンテージ・シャンパンのボトルとふたつのクリスタル製シャンパン・フルートが収納できる、手作業による特注の仕掛けが組み込まれた。

 

特別なお客様のための極めてパーソナルにコーチビルドされたロールス・ロイス、スウェプテイルのすべての素材の表面処理からは手作業による高い品質と細部にまで徹底して行きわたる配慮が見て取れる。

 

 

 

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