ヨーロッパの大都市の一部では、慢性化する渋滞・路上駐車といった大都市の交通問題を、歩行者・自転車・公共交通機関を優先することで解決しようとしている。大都市からクルマが締め出されようとしているのだ。そこに割って入ろうとしているのがマイクロEVやコンパクトEV。ヨーロッパでは、大手自動車メーカーのほかにもスタートアップ企業から多様なモデルが発表されており、その一部はすでに市販されているものもある。
今回はそんな中から、ロシアのスタートアップ企業「ミローカーズ(http://mirrowcars.com)」が開発している「ミロー」をご紹介しよう。まるでチョロQのようなユーモラスなエクステリアに眼を奪われるミローだが、あの「スマート・フォーツー」とほぼ同じ全長の車体に4人が乗車することができ、さらに若干の荷物が積めるという、なかなかにスゴい奴なのだ。
乗降はなんとリアドアから
まずは目を惹くのは、日本人なら誰しもがチョロQを想像してしまう寸詰まり(?)な車体。スペックを見ると全長×全高×全幅は2695mm×2045mm×1980mm(全幅はミラーを除く)。全長はビッグスクーター並みに短いものの、横幅はなんと3ナンバーサイズ! 実際のところミローは、マイクロEVというより極度に全長を詰めたミニバンという趣だ。しかしそれでも、この極度に短い車体に4人を乗車させようという気概が素晴らしい!
そして車体の50%以上にはリサイクル・プラスチックを使用し、なんと3Dプリンターで出力できる仕様を検討しているという。
ドライバーを含めた乗員は、メインドアであるバックドアを通じて乗降する。これは都市部の狭い駐車スペースを考慮してのこと。ドアは両サイドにも装備するが、こちらはあくまで緊急用。一般的な乗降方法を採用しないことで、ラリーカーのロールケージを想像させるような堅牢なボディをリサイクル強化プラスチックを素材として形作ることを可能にしている。
EVであるミローは巨大なシート下スペースにバッテリーを搭載、航続距離350~400kmを確保することを想定。さらにそのEV仕様に加え、現在は一般的なダウンサイジングターボエンジンやそのハイブリッド版を搭載することも検討されている。ボディタイプもタイトル画像として掲載した「ミロー・パラドックス」のほか、よりモダンなデザインを纏う「ミロー・プロボケーター」、クラシックな「ミロー・スタイルT」を用意する。
現在は市販化に向けてより幅広い需要に応えるべく、仕様変更を行いつつプリプロトタイプを製作。その完成度はまだまだだが、確かにリサイクル強化プラスチックが使われており、これにより驚いたことに車両本体価格は3500~4000ユーロという爆安価格を目指しているそうだ。
リサイクル強化プラスチックをボディ素材に用いた、チョロQのような短いミニバン「ミロー」。何ともユニークなこの車両、ぜひ市販化に漕ぎつけてもらいたいものだ。
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Text:Reggy KAWASHIMA Photo:MIRROWCARS
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